江戸時代のメンズのおしゃれアイテムである刀剣や刀装具、印籠を紹介する展覧会、
“江戸のダンディズム ―刀から印籠まで―” が7月20日まで根津美術館にて開催されています。
「・・・・・刀剣がおしゃれ?」
と、思われた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、戦国時代までとはうって変わって、安泰になった江戸時代になると、
刀剣や拵は、持ち主の身分や財力、教養や季節感を感じさせるおしゃれアイテムとして発達したのだそうです。
例えば、こちらの拵 (=日本刀の外装) をご覧ください。
《稲穂雁蒔絵大小拵》 1具 日本・江戸~明治時代 19世紀 根津美術館蔵
大きい刀の方には、たわわに実った稲が、
小さい刀の方には羽を広げた雁が大胆に金蒔絵でデザインされています。
つまり、秋物。オータムコレクションの拵です。
おそらく、この刀の持ち主は、季節に合わせて拵を変えて、オシャレを楽しんでいたのでしょう。
ちなみに、上の画像では伝わりませんが、鐔などの刀装具は、農耕図と三保松原が題材になっていました。
そちらも、秋。
トータルコーディネートでオシャレを楽しむだなんて。
この刀の持ち主は、相当なオシャレ上級者とみました。
個人的な好みとしては、稲や雁のデザインには惹かれませんでしたが (笑)
刀の柄のデザインに惹かれました。
見るからに、グリップ感 (?) が素敵です。
“このグリップ感、何かに似ているんだよなァ”
と、しばらく考えたのちに、高級外車のハンドルのグリップに似ていることに気づきました。
江戸時代も現代も、男性がこだわる部分は、そう変わらないのかもしれません。
さてさて、そんなこだわり満載の刀を実際に武士が身に着けるとどうなるのでしょう。
その答えが、今回の展覧会ポスターにありました。
なんとダンディーな!
もちろん、このポスターに使われている刀は、ポスター用にデザインされたものではなく。
19世紀に作られた正真正銘の拵 (《鏡勾玉蒔絵脇指拵》) で、展覧会の出展作品の一つです。
僕らが想像しているより、遥かに江戸時代のメンズはオシャレを楽しんでいたのでしょう。
会場には、そんな江戸時代のメンズのこだわりの拵を中心に、
超絶技巧が駆使された鐔や小柄、目貫といった小物アイテムの数々、
《牡丹蝶図鐔》 加納夏雄作
1枚 日本・江戸~明治時代 19世紀 根津美術館蔵
さらに、江戸時代のスマホケースに当たるのかもしれない印籠の数々が紹介されています。
《端午蒔絵印籠》 柴田是真作
1合 日本・江戸~明治時代 19世紀 根津美術館蔵
どれもダンディで、どれもオシャレ。
一つ一つが細部までこだわり抜かれているので、
じっくり鑑賞すると、展示室1室だけの展覧会とは思えないほど、ぐったりします。
見応え十分の展覧会でした。
ちなみに。
ダンディズムを前面に押し出した展覧会なので、
さぞかし会場は男性客ばかりなのだろうと思いきや、若い女性客も多く見受けられました。
恐るべし、刀剣乱舞ブームです。
彼女らの目当ては、刀装具よりも刀剣。
ジャニーズのタレントを見つめるような熱い視線で、
根津美術館の刀剣コレクションを眺めていたのが印象的でした。
今回出展されていた刀剣の中で、個人的にオススメなのが《脇指 銘 播磨大掾藤原重高/越前住》 。
《脇指 銘 播磨大掾藤原重高/越前住》
1口 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
刀身に倶利伽羅龍が超絶技巧的に透かし彫りされています。
実にカッコいい。
刀剣女子ならずとも、惚れる逸品です。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
↧
江戸のダンディズム ―刀から印籠まで―
↧