現在、東京国立近代美術館では、某CDショップのキャッチコピーを彷彿とさせる・・・
“No Museum, No Life?―これからの美術館事典” という展覧会が開催されています。
こちらは、国立美術館5館による合同展で、
東京国立近代美術館コレクションのアンリ・ルソー作品や、
アンリ・ルソー 《第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神》
1905-06年、油彩・キャンバス、175.0×118.0cm、東京国立近代美術館
京都国立近代美術館が所蔵するトーマス・シュトゥルートの 《ルーヴル美術館4、パリ 1989》 を筆頭に、
トーマス・シュトゥルート 《ルーヴル美術館4、パリ 1989》
1989年、タイプCプリント、138.0×177.0cm、京都国立近代美術館 ©Thomas Struth
それぞれの美術館のコレクションから選りすぐられた約170点の作品が紹介されています。
・・・・・といっても、単なるコレクション展ではありません。
国立美術館のコレクションを紹介する展覧会というよりは、
国立美術館のコレクションを通じて、美術館の活動を紹介する展覧会といった感じでした。
美術展の会場を一つの事典に見立て、
「A」 から 「Z」 まで、美術館に関する36のキーワードごとに作品が紹介されています。
例えば、「A」 は・・・
「Architecture(建築)」 や 「Archive(アーカイブ)」 といった具合に。
ちなみに、先ほど紹介した
トーマス・シュトゥルートの作品は、 「Beholder(観者)」 というキーワードの中で紹介されていました。
さてさて、美術館の活動を紹介する展覧会ゆえに、
展示されているのは、美術作品だけではありません。
例えば、 「Earthquake(地震)」 というキーワードでは、
地震を題材にした美術作品とともに、美術作品を地震から守る免震台が、
「Hanging(吊ること)」 というキーワードでは、
美術作品を壁に吊るすための吊り具が展示されていました。
他にも、「Storage(収蔵庫)」 というキーワードで、
国立美術館4館の収蔵庫の様子が実物大 (with実物のフジタ作品) で紹介されている等、
普段は知ることが出来ない美術館の裏側が、いろいろと垣間見られるので、
美術館ファンやアート好きの好奇心を満たす充実の内容になっていた気がします。
楽しい上に、確実にこの展覧会で学んだことが、これからの美術鑑賞をする上でプラスになる。
そういう意味でも、オススメの展覧会です。
ただ、一つ残念だったのは、
お客さんが、ある程度美術館に足を運んでいる (美術に興味を持っている) という前提で、
展覧会が構成されていたことでしょうか。
「Haptic(触覚的)」 や 「Provenance(来歴)」 のように、
やや専門的で、やや美術の基礎知識を要するキーワードも少なくなかったです。
せっかく夏休み期間の展覧会なので、子供も楽しめるようにもう一段階ハードルを下げても良かったのでは?
個人的には、 「Light(光/照明)」 のキーワードでの印象派作品と照明を対比させてみせた展示と、
「Naked/Nude(裸体/ヌード)」 にてヌード画やヌード写真をこれでもかと並べた展示が新鮮でツボでした。
学芸員さんがやりたいことをやりきった。
そんな印象を受けました。
こういう攻めの姿勢の展示に出合うと、心から 「NO MUSEUM, NO LIFE」 と思います。
┃会期:2015年6月16日(火)~9月13日(日)
┃会場:東京国立近代美術館
┃http://www.momat.go.jp
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No Museum, No Life?―これからの美術館事典
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