本日ご紹介するのは、東京都現代美術館で開催中の “山口小夜子 未来を着る人” 。
日本はもとより、アジア人初のトップ・モデルとして世界で活躍した山口小夜子の軌跡を紹介する展覧会です。
これまでにデザイナーを取り上げた展覧会ならば、いろいろと開催されていますが。
モデルを取り上げた展覧会はおそらく皆無。
一体、何が展示されているのでしょう??
例えば、彼女の代表作ともいうべき資生堂の専属モデル時代のポスターや資料の数々が展示されていました。
「資生堂 舞」ポスター 撮影:横須賀功光 AD: 中村誠 1978年
また例えば、著名デザイナーたちが彼女のためにデザインした作品が展示されています。
それらを着るのは、なんとSAYOKOマネキンです。
・・・と、ここまでなら、単なるトップ・モデルに過ぎませんが (←?)。
展覧会では、デザイナーとしての山口小夜子や、
パフォーマーとしての山口小夜子の作品も余すことなく紹介されています。
彼女のマルチな才能に触れ、今さらながら山口小夜子のファンになりました。
死してなお、ここまでカリスマ性を持つ人物が他にいましょうか。
ここまで刺激的な展覧会はそうそうありません。
もちろん山口小夜子はスゴい人物なのですが。
山口小夜子を取り上げる展覧会を開催しようと思いついた学芸員さんもスゴいと思います。
さてさて、実は、絶妙に世代がズレるので、山口小夜子のことはよく知らなかったのですが。
今回の展示を通じて、まず連想したのは、なぜか初音ミクでした。
ファッションと音楽、ましてや人とCGという大きな違いはあるのですが。
どちらも多くのクリエイターが着させたい (歌わせたい) と思わせる魅力があること。
そして、どんな服を着ても (歌を歌っても) 、山口小夜子スタイル、初音ミクスタイルになってしまうこと。
存在感があるようで、ないようなこと。
・・・など、いくつも共通点が挙げられます。
山口小夜子が自ら名乗った 「ウェアリスト(着る人)」 という言葉も、
どこか 「VOCALOID」 という言葉に通ずるような気がするのは、僕だけでしょうか。
ともあれ、山口小夜子を知っている世代だけでなく、
あきらかに山口小夜子を知らない若い世代のお客さんも多かったのは、
そのあたりに秘密があるのかもしれません。
ちなみに、生前の彼女と親交の深かったアーティストたちが、
山口小夜子に捧げた新作作品も今回の展覧会の見どころの一つです。
日本のネットアートシーンのパイオニアであるエキソニモは、
写真やポスターから山口小夜子の姿を消し去ってしまった作品を。
パフォーマンスアーティスト山川冬樹さんは、
山口小夜子のライフマスクを着けたパフォーマンスの映像作品を。
生前に山口小夜子とユニットを組んでいた演出家の生西康典さんと映像作家の掛川康典さんは、巨大なアトリウムで 《夢よりも少し長い闇》 という圧巻のインスタレーション作品を発表しています。
これらもどうぞお見逃しなく。
今でも多くの現代アーティストに影響を与え続けている山口小夜子、
その存在感の大きさ、ゆるぎなさを実感しました。
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山口小夜子 未来を着る人
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