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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ボルドー展 ―美と陶酔の都へ―

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現在、国立西洋美術館では、 “ボルドー展 ―美と陶酔の都へ―” が開催されています。

会場
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


こちらは、フランス南西の港町ボルドーをテーマにした展覧会。
街そのものを主役に据えた珍しい切り口の展覧会です。
日本で例えるならば、北海道展や九州展といったところでしょうか。
いや、北海道展や九州展というと、何だか百貨店の物産展みたいなイメージですね。
例えたことで、逆に伝わりづらくなってしまいました (汗)

今展覧会は、決して物産展のような展覧会ではありません。
ボルドーにゆかりのある品々を通じて、ボルドーの悠久の歴史を辿る展覧会です。


さて、ボルドーの歴史は、まず先史時代から語られます。

先史時代


“ボルドーと遺跡??”

予想だにしなかった展開に、かなり戸惑ってしまったのですが。
人類最古の絵画とされる壁画でお馴染みのラスコーの洞窟は、
実は、ボルドーと同じアキテーヌ地方に位置しているのだそうです。
そこで、先史時代の画材 (《オーカー片》《パレットとして使われた石》 など) が紹介されていました。

パレット


さらには、同じくアキテーヌ地方にあるローセルの岩陰で発見された・・・

角を持つヴィーナス(ローセルのヴィーナス)  《角を持つヴィーナス(ローセルのヴィーナス)》 
25,000年前頃 アキテーヌ博物館 ©Musée d'Aquitaine - Mairie de Bordeaux. Cliché L. Gauthier


《角を持つヴィーナス(ローセルのヴィーナス)》 も、日本で初めて紹介されています。
約25000年前に作られた素朴な造形美に、思わず引き込まれました。
心の琴線に触れるというよりは、人類としてのDNAが反応したという感じでしょうか。
どこか日本の土偶を思わせるフォルムも印象的でした。


今回の展覧会では、そんな先史時代に始まって、
古代や中世のボルドーや海洋都市として栄えた18世紀のボルドー、

古代  海洋都市 


そして、20世紀や現代のボルドーの様子が、

ボルドー  20世紀


200点以上にも及ぶ美術品や考古・歴史資料とともに紹介されています。
その中でも特に見逃せないのが、初来日を果たしたドラクロワの 《ライオン狩り》 という大作です。

ライオン

ライオン狩り  ウジェーヌ・ドラクロワ 《ライオン狩り》 
1854-55年 175×360cm ボルドー美術館 ©Musée des Beaux-Arts - Mairie de Bordeaux. Cliché L. Gauthier


ライオン狩りの迫力はなんとなく伝わってくるのですが、なんとなく中途半端な気もします。
実は、こちらの 《ライオン狩り》 という大作は、
ボルドー美術館の至宝ながらも、1870年に美術館の火災によって上部が消失してしまったのだとか。
不幸中の幸いか、オディロン・ルドンによる模写が現存しているため、

ライオン狩り  オディロン・ルドン 《ライオン狩り》(ドラクロワ作品に基づく模写) 
1860-70年 オルセー美術館(ボルドー美術館へ寄託) ©Musée des Beaux-Arts - Mairie de Bordeaux. Cliché F. Deval.



描かれた当初の姿を想像することは出来ます。
こちらのルドンの模写ver.も同じ展示スペースに飾られていましたので、見比べて楽しむのも一興です。


さてさて、ボルドーと言えばワイン、
18世紀のワインクーラーやワインのエチケットなど、もちろんワインに関する展示品も多くありました。

ワインクーラー  ワインクーラー


音声ガイドにソムリエの田崎真也さんも起用されているので、ワイン好きにも楽しい展覧会と言えそうです。
お土産コーナーも、酒屋さん並にワインがいっぱい並んでいました (笑)

ワイン


ただ、率直な感想としては、アート好きにとっては、 「これぞ!」 という目玉作品が、
《角を持つヴィーナス(ローセルのヴィーナス)》《ライオン狩り》 くらいしかなかったような。。。
あくまで展覧会の主役はボルドーという街そのもの、展覧会全体を楽しむ展覧会だった気がします。
美術展と歴史系の展覧会を足して2で割ったような性格の展覧会でした。
星星


ちなみに、僕が一番衝撃を受けた作品は、ルーベンスの 《聖ユストゥスの奇跡》 です。

奇跡


描かれているのは、兵士たちに首を刎ねられたユストゥスが、自分の首を抱え歩き出したという奇跡。
確かに、相当な奇跡ですが、かなりグロいです。
その奇跡の瞬間を目の当たりにした人が、かなり引いています。
刎ねられた首が元に戻るという奇跡なら良かったのに (←?)


さてさて、そんなボルドー展を含むアートツアーを、7月25日に企画しています。
ブログでは伝えきれなかった見どころも紹介しますので、是非ご参加お待ちしております!
それ以外にも、いろいろなアートツアーを企画していますので、
ご都合が合いましたら、是非お気軽に遊びにいらしてくださいませ♪

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