現在、奈良国立博物館では、開館120周年を記念して、
長年にわたり構想を温めてきたという展覧会 “白鳳-花ひらく仏教美術-” が開催されています。
「白鳳」 とは、7世紀の半ばから710年に平城京に遷都するまでの間の文化や時代を指す言葉。
主に美術史や文化史で用いられてきた言葉で、歴史学では使わないことが多いそうです。
その前の飛鳥美術とも、その後の天平美術とも違う、
白鳳美術の魅力に迫ろうというのが、今回の展覧会の趣旨。
国宝16件重要文化財72件を含む約150件の白鳳美術の名品が、日本全国から集結しています。
ちなみに、関東からは、深大寺にある重要文化財 《釈迦如来倚像》 や、
環境整備工事のため3月まで休館中の法隆寺宝物館の名品の数々が出展されています。
(いつも東京で観ていたものを、わざわざ奈良で観なくてもw)
さらに、千葉県の龍角寺にある 《薬師如来坐像》 の姿も。
こちらは、首から上が白鳳時代のもの。
首から下は、江戸時代に作られています。
意識して観ると、あきらかに首から下が不自然。
いや、首から上が不自然なのか。
ロバート秋山の体ものまねみたいになっています。
さて、今回の展覧会を通じて、僕が感じた白鳳美術の魅力。
それはオリジナリティにあった気がします。
仏教伝来の影響を直接受けた飛鳥美術、中国・唐の影響を直接受けた天平美術に対して。
白鳳美術は、大陸文化の影響をなんとなく受けて、
なんとなく制作してみました・・・というような遊びの部分 (ユルさ?) があるのです。
《弥勒菩薩半跏思惟像》
(注:展示期間は7月19日から9月16日まで)
そんな遊びの部分があるおかげで、本場にはない独自のセンスを生んでいたような気がします。
例えば、お気に入りの一つが、こちらの重要文化財の 《阿弥陀三尊像》 。
左右の脇侍がナナメっているところが、トリオ漫才のような可笑しさを醸し出しています。
もしくは、ビジーフォーのものまねか。
三尊像と言えば、法隆寺の国宝 《阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)》 も印象的。
造形としても面白いのですが。
何より、下からの生え方 (?) が面白いです。
どうしたら、こんな発想が生まれてくるのか。
シュルレアリスムの彫刻よりも、シュールです。
ちなみに、画像がなくて恐縮ですが、イチオシは兵庫の一乗寺が所蔵する 《観音菩薩立像》 。
頭が妙にデカくて、体が小さくて、アゴのラインがゆるゆるで・・・
アゴなしゲンとオレ物語(1)/講談社
↑こんな感じでした。
さて、白鳳時代の人たちの名誉のために言っておきますが。
全部の白鳳美術がユルいというわけではありません。
薬師寺の国宝 《聖観世音菩薩立像》 を筆頭に、
白鳳時代に作られた端正な仏像も多く展示されています。
また、一枚の薄い銅板から制作せれた 《押出阿弥陀五尊像》 のように、
超絶的な技巧が施された工芸品も多く展示されています。
白鳳美術のバリエーションの豊かさを感じられる展覧会でした。
奈良国立博物館が長年にわたり構想を温めてきただけはあります。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
↧
白鳳-花ひらく仏教美術-
↧