キュッパのびじゅつかん―みつめて、あつめて、しらべて、ならべて

東京都美術館で開催中の “キュッパのびじゅつかん―みつめて、あつめて、しらべて、ならべて” に行ってきました。




こちらは、物集めが大好きな丸太の男の子・キュッパを主人公にしたノルウェーの絵本、

キュッパのはくぶつかん (福音館の単行本)/福音館書店



『キュッパのはくぶつかん』 をテーマにした展覧会です。
・・・と言っても、夏休みに開催されがち （？） な絵本の原画を紹介する展覧会というわけではありません。
（もちろん 『キュッパのはくぶつかん』 の作者による原画も展示されていますが）
『キュッパのはくぶつかん』 のお話を入り口にして、
美術品を集めることや分類すること、展示することの楽しさを体感する新感覚の展覧会です。


展覧会の目玉は何と言っても、日比野克彦さんによる参加型のインスタレーション作品。
《bigdatana—たなはもののすみか》 です。




床一面に広がるのは、膨大な数の物・もの・モノ！

　　


でも、モノの数に圧倒されているヒマはありません。
用意された木箱を手に取り、日比野さんからのミッションに挑みましょう。




無数にあるモノから、どのような分類で、何をチョイスするのか。
自分のキュレーションのセンスが試される体験型のアート作品なのです。
完成したら、ヒノキ製の幅12ｍ×高さ8ｍの巨大な収蔵棚へ。
キュレーションしたボックスは、この棚に収蔵されることとなるのです。

センスが感じられなかったマイキュレーションボックスは自粛するとしまして （笑）
あきらかに僕よりもセンスがある子どもたちのボックスをご紹介↓

　　


体験するのも、もちろん楽しかったですが。
他人がキュレーションしたものを眺めるのも、とても楽しかったです。


《bigdatana—たなはもののすみか》 の他にも、見逃せない体験型作品が。
小山田徹さんによる 《浮遊博物館2015》 です。




天井から吊るされているのは、台東区の一般家庭から借りてきた生活用品の数々。
それも、押し入れなどにしまわれていたという生活用品の数々です。

　　


そんな、何気ないにもほどがある品々なのに、
懐中電灯を当てながら眺めると、なんかちょっとワクワクドキドキ出来てしまうのです。




ちなみに、《浮遊美術館2015》 を鑑賞中に、尾崎紀世彦と鈴木亜美を発見。
まさか、こんなところで、彼らと出会うとは （笑）

　　



何気ない品々と言えば、アラン・ケインによる 《Home of Orphaned Dishes》 という作品も。




こちらは、一昔ふた昔前のイギリスの陶磁器を、ただただ並べただけの作品です。
１つ２つでは、普通に古臭い陶磁器かもしれませんが。
これだけの数が集まると壮観で、何か別の価値が加わったような気がしました。

さて、これらの陶磁器が展示されている棚には、まだ若干の余裕があります。




このスペースに飾られるのは、なんと来場者の皆様が自分の家から持ち寄る “一番不要な器”。
器の返却はされないのだそうですが、集まった器の一部は、
作品の一部分としてブリティッシュ・カウンシル・コレクションに加わるとのこと。
「我こそは （一番不要な器を持っているぞ）！」 という方は、器を持ち込んでみてはいかがでしょうか？


体験型のアート作品の他にも、収集を通じて表現する現代アーティストの作品が紹介されていたり。
キュッパの収集癖にちなんで、国立民族学博物館の郷土玩具コレクションや、
宮澤賢治が採取した石のコレクション、世界のタイル博物館が所蔵するタイル・コレクションなど、
さまざまなタイプのコレクション （実物！） が紹介されていたり。
何かをコレクションする、それを分類する、展示するという、
博物館・美術館のもつ大切な要素を、わかりやすく楽しく紹介していた素敵な展覧会でした。

大人はもちろん、子どもにもオススメ！
アナログではあるものの、体験型展覧会としてはチームラボ展に勝るとも劣らない内容でした。
この展覧会を機に、美術コレクターになりたい子どもや、
学芸員になりたい子ども、美術館で働きたい子どもが増えるかもしれませんね。


ちなみに。
この展覧会は、一人で行くよりも、誰かと行った方が、絶対に楽しいと思いますので。
急遽、今週日曜に、“キュッパのびじゅつかん” を含むアートツアーを企画しました。
是非、ご一緒いたしましょう！
詳細は、こちらに↓
http://ameblo.jp/artony/




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