もはや、すっかり春の恒例行事となりました、府中市美術館での江戸絵画展。
今年は、 「三都」 がテーマの江戸絵画展です。
一口に、 “江戸絵画” と言っても、
三都・・・つまり、江戸・大阪・京都では、その作風には、大きな違いがあります。
今回の美術展では、テーマ別に三都の作品を並べてみたり、
街の特産という角度から三都の作品の特徴を検証してみたり、
あらゆる角度から、江戸・大阪・京都の画家たちを比べてみようというもの。
いわば、江戸絵画版 『秘密のケンミンSHOW』 と言ったところでしょうか (←?)
では、具体的に、どんな違いがあるのでしょうか。
今回の美術展では、
・花と動物(前期のみ)
・山水くらべ
・和みと笑い
の3ジャンルでの比較がなされていましたが。
その中から、 「笑い」 を紹介してみたいと思います。
まず、大阪の笑いとして紹介されていたのが、
松本奉時の 《煙管戯墨帖》 という作品。
(画像は、ありません。あしからず)
一見すると、普通の墨絵にしか見えないのですが、
実は、この絵は、タイトルからも、うっすら想像がつくように、キセルで描かれたもの。
松本奉時という画家は、キセルに墨を付けて描くことでお馴染みの画家なのだとか。
このような、いわゆる、 「ノリの笑い」 が、大阪の笑いなのです。
続いて、京都の笑い。
紹介されていたのは、長沢蘆雪の 《なめくじ図》
なめくじが画面を這っている様を描いたシュールな一枚。
なんか可愛い (笑)
このような、「ほっこり、かつ、哲学的な笑い」 が、京都の笑い。
では、最後に江戸の笑いを。
紹介されていたのは、歌川国芳。
金魚を人間に見立てることで生まれる可笑しみ。
しかも、よく見ると、団扇が金魚すくい用の網になっているという芸の細かい笑い。
そう、江戸の笑いは、 「理知的な笑い」 です。
どの笑いが一番素晴らしいか…という議論は、さておいて。
一口に、笑いと言っても、三都で全然違うことがわかります。
“笑い” 以外のジャンルでも、
その作風の違いは、比べてみると明らか。
「なるほどなるほど」 と納得することしきりで、大変興味深く面白い内容の美術展でした。
府中市美術館、頑張ったなぁ。
また、今回の美術展は、出展作品のその大半以上が、個人蔵の作品。
目玉作品である伊藤若冲の 《垣豆群虫図》 は、
昭和2年に、京都での展覧会に出品され、
その図録に掲載されて以降、一般の目には触れることのなかったという幻の作品。
今回の出展は、実に、85年ぶり!
他にも、曽我蕭白による不気味な 《虎図》 (笑) や、
画面を横断する茎が印象的な宋紫石の 《蓮池水葵図》 も、
個人蔵の作品。
また、僕的に一番印象に残った、こちらの作品も個人蔵。
与謝蕪村の 《火桶図》 です。
百物語をしている面々。
しかし、百番目の怪談が思いつかなかったため、
「火桶炭団を食うこと 夜ごと夜ごとにひとつずつ」
と、でっち上げで、怪談を披露します。
が、火桶をよく見ると、顔が・・・。
でっち上げた怪談が、実話になってしまったのです。
内容は、 『世にも奇妙な物語』 的なホラーですが、
火桶の顔が妙に可愛いらしくて、あまり怖くない (笑)
これらのレアな個人蔵の江戸絵画を、
まとめて観られる機会は、そうそうありますまい。
府中市美術館、頑張ったなぁ。
さてさて、府中市美術館と言えば、むら田 (笑)
今回も、毎年恒例のむら田屋を出店していましたが。
今年は、さらに新しい展開が!
はんこ(スタンプ) を押して、
すごろくを完成させるという楽しいコーナーに現れたのは・・・
さんとくん!
・・・いや、どう見ても、むら田じゃん (笑)
府中市美術館、頑張ったなぁwww
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三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る (前期)
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