Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

浮世絵から写真へ―視覚の文明開化―

$
0
0

江戸時代に浮世絵文化が花開いて。
写真が誕生するとともに、その座を取って代わられて。

なんとなく、そんなイメージを抱いていませんか?

いやいや、実は、幕末から明治にかけて、
浮世絵と写真は、お互いに様々な影響を与え合っていたのです。
そんな浮世絵と写真の関係性を浮き彫りにしているのが、
江戸東京博物館で開催中の “浮世絵から写真へ―視覚の文明開化―” という展覧会。

会場  浮世絵
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


浮世絵も写真も同時に楽しめる一挙両得 (?) な展覧会です。

さてさて、浮世絵と写真の関係性と言われても、ピンと来ないかもしれませんが。
写真屋や写真を題材にした浮世絵があったり、

写真  昇斎一景 《東京名所四十八景 柳原写真所三階よりお茶の水遠景》
錦絵 1871年(明治4) 江戸東京博物館蔵



写真を模したスタイルで描かれた浮世絵 (その名も 《俳優写真鏡》 シリーズ) があったり、

写真  


浮世絵の名所絵の構図を、そのまま踏襲した風景写真があったり、

風景


と、例を挙げればキリがありません。
このような相関関係の数々を目の当たりにして、
終始 「へー」 とか 「ほー」 とか、感心していたような気がします。
美術作品としての面白さは、ほとんど感じなかったのですが、、
メディア文化としての浮世絵や写真の面白さが感じられた展覧会でした。
星


特に印象に残っているのは、《江戸名所 百人美女》 シリーズと、
日本のミスコンテストのはしりとも言うべき 《凌雲閣百美人》 の対比です。

江戸  百美人


《江戸名所 百人美女》 というフォーマットがあってこその 《凌雲閣百美人》 だったのですね。
ちなみに、《凌雲閣百美人》 の中での一番人気、
つまりAKB48でいうところのセンターは、この方だそうです。

センター



また、もう一つ印象に残っているのが、幻の技法とされる写真油絵。
写真が誕生したとは言え、まだまだカラー写真が発明されるのは、先の話です。
浮世絵のようにカラフルに。
そうして誕生したのが、こちらの写真油絵です。

写真  小豆澤亮一 《初代東京府知事 烏丸光徳》 
写真油絵 1888年(明治21) 東京都公文書館蔵


確かに、カラー写真のようです。
そして、確かに、油絵のようでもあります。
まさしく、写真油絵としか言いようのない不思議な作品でした。


ちなみに、展覧会のエピローグとして、
両国にある東京江戸博物館らしく (?) 、相撲におけるメディアの変遷が紹介されていました。
江戸時代は、もちろん浮世絵。明治以降は写真。

浮世絵  明治
 

そして、現在は、お馴染みのこちら↓

横綱


実は、こちらの優勝額も、
2013年までは写真の上に彩色がなされていたそうです。
知らなんだ。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles