2015年度は、千葉市美術館が開館20周年を迎えた記念すべき年。
そんな記念イヤーに、スペシャルな展覧会を次々と開催してきた千葉市美術館ですが。
そのラストを飾る展覧会として、“開館20周年記念展 初期浮世絵展 -版の力・筆の力-” が開催されています。
こちらは、千葉市美術館のお家芸とでも言うべき、浮世絵をテーマにした展覧会です。
・・・・・と言っても、人気の高い葛飾北斎や歌川国芳の浮世絵はありません。
東洲斎写楽も喜多川歌麿も歌川広重の浮世絵もありません。
メインをはるのは、初代鳥居清倍や、
初代鳥居清倍 《二代目市川団十郎の虎退治》
正徳3年(1713) 千葉市美術館蔵
奥村政伸といった、
奥村政信 《両国橋夕涼見大浮絵》
寛永期(1748-51)頃 Gift of James A.Michener. 1991(21630)
まだ僕らがイメージする浮世絵 (=錦絵) が誕生していない時代に活躍した浮世絵師たち。
初期の浮世絵師たちです。
このように初期の浮世絵をテーマにした展覧会は、
これまでに日本で開催されたことが無かったのだとか。
しかも、大英博物館をはじめ、
鈴木春信 《風流やつし七小町 雨ごい》
宝暦(1751-64)末期 大英博物館蔵 ©The Trustee of the British Museum
シカゴ美術館、ホノルル美術館など、貴重な浮世絵の数々が、この展覧会のためだけに里帰り!
つまり、今回の展覧会は、一見すると、地味なだけの浮世絵の展覧会に思えますが。
実は、日本初となる本格的な初期浮世絵展なのです!!
展覧会の率直な感想は、2つ。
1つは、肉筆画も含めて、
重要美術品 (無款) 《桜狩遊楽図屏風》
寛永期(1624-44) 個人蔵
「よくぞこれだけ (=約200点) の初期浮世絵を集めたなぁ!」 というもの。
担当した学芸員さんの苦労がしのばれます。
そして、もう1つは、「やっぱり地味だなァ (笑)」 というもの。
初期の浮世絵展を実現させる苦労も、開催する意義も、よ~くわかるのですが。
北斎や国芳、写楽、歌麿、広重の浮世絵が無いと、どうしたって華やかさには欠けます。
こればかりは仕方ありません。
(華やかさは欠けるものの、線の力強さ、のびやかさは見応えありでした)
もちろん、こうなることは千葉市美術館も想定済みだったことでしょう。
それでも、あえて初期浮世絵展を実現させた、その心意気は3ツ星!
でも、展覧会としては、1ツ星。
浮世絵ファンでないと、楽しめないと思います。
ただし、浮世絵ファンを自認するならば、絶対に訪れるべきです。
初期浮世絵展を観ずして、浮世絵は語れません。
ちなみに、今回の出展作品の中で、
一番印象に残っているのが、鳥居清広の 《風に悩む美人》 という一枚。
鳥居清広の 《風に悩む美人》
宝暦(1751-64)前期 大英博物館蔵 ©The Trustee of the British Museum
江戸時代のチラリズム
この浮世絵を観て、江戸時代の青少年たちは、きっと興奮したのでしょう。
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初期浮世絵展 −版の力・筆の力−
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