三鷹市美術ギャラリーで開催中の “米谷清和展 ~渋谷、新宿、三鷹~” に行ってきました。
展覧会のポスターを目にして、
米谷清和さん (1947~) は油彩画家だと、すっかり思い込んでしまっていたのですが。
会場で、実物を拝見してビックリ!
なんと作品は、日本画だったのでした!!
《夕暮れの雨》 1992年
雲肌麻紙・岩絵具 190.0×200.0cm 三鷹市美術ギャラリー蔵
米谷清和さんは、画壇の異端児と呼ばれた横山操 (1920~1973) を師に持つ日本画家とのこと。
都会の中に見られる日常的なシーンを題材にした日本画作品に定評があるようです。
《Phone》 1983年
雲肌麻紙・岩絵具 130.3×162.1cm 三鷹市美術ギャラリー蔵
展覧会では、そんな米谷清和さんの作品群の中から、
代名詞とも言うべき渋谷・新宿といった都会を題材にした作品の数々と、
長くアトリエを構えている三鷹を題材にした作品の数々が紹介されていました。
今回の展覧会を通じて初めて米谷清和さんの作品を目にしたわけですが。
その率直な感想は・・・
「なんで、こんなに切なくなるんだろう??」
でした。
特に悲しいシーンを描いているわけでもないのに、
なぜか切なく、どこか淋しいような気持ちになってしまうのです。
その原因を作品と向き合いながら、じっと考えてみました。
おそらく、こういう理由なのではないでしょうか。
《夜の川辺》 2005年 雲肌麻紙・岩絵具 227.3×181.8cm
例えば、 《夜の川辺》 という作品。
描かれているのは、春には桜が咲き誇る三鷹市の野川公園です。
橋の上は、夜桜を眺める人、写メを撮る人で賑わっていますね。
そんな人々の姿を、画家 (米谷さん) は離れたところから描いて (見つめて) います。それも淡々と。
画家本人にそこまでの自覚はないのかもしれませんが、
作品からは、集団から孤立しているかのような、周囲に溶け込んでいないかのような印象を受けるのです。
特に、そう感じたのが、《雪の日》 という作品。
《雪の日》 1984年
雲肌麻紙・岩絵具 205.0×580.0cm 箱根・芦ノ湖 成川美術館蔵
東京の人にはお馴染みの渋谷のあの歩道橋を描いた作品です。
やはりこの作品も、かなり離れたところから描いています。
こんなにも雪が降りしきる中、寒さに耐え、
大都会の渋谷で孤独に街行く人々を、ただ見つめていた (と思われる) 米谷さん。
僕の中で、その姿が、完全にハチ公と重なりました。
切なすぎます。
とは言え、切なくなる作品ばかりというわけではなく。
逆に、『少し楽しくなる動画』 を彷彿とさせ、
少し楽しくなる日本画も、少なからずありました。
《街・朝》 1986年
雲肌麻紙・岩絵具 200.0×290.0cm 新潟県立近代美術館・万代島美術館蔵
これらの作品のおかげで、切なさも軽減。
心が沈んでしまうまでには至りませんでした。
とにもかくにも、これまでに出会ったことが無いタイプの日本画家です。
一見の価値あり!
ちなみに、僕のお気に入りは、米谷さんによる雨の情景を描いた作品の数々です。
《ASPHALT》 1991年
雲肌麻紙・岩絵具 181.9×455.1cm 刈谷市美術館蔵
これらの作品を観ていて、デジャヴに襲われました。
“あれ?こういう光景、どこかで目にしたことがあるぞ・・・。”
しばらく考えて、答えが判明しました。
“あっ、カラオケビデオだ!”
《真夜中の雨》 1991年 雲肌麻紙・岩絵具 182.0×226.4cm
この絵をバック (背景) に・・・
真夜中のダンディー
桑田圭祐 詞 曲
と表示されていても、何の違和感もありません。
もしくは、消費カロリーが表示されていても、何の違和感もありません。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
↧
米谷清和展 ~渋谷、新宿、三鷹~
↧