2年前の美術展で、
「いわさきちひろ×金子みすゞ」
という異色のコラボにチャレンジしたちひろ美術館・東京。
今回、それを超えるコラボにチャレンジしたと聞いて、駆けつけてまいりました。
美術展のタイトルは、 “ちひろと香月泰男 ―母のまなざし、父のまなざし―”
「いわさきちひろと香月泰男?!いやいや、そんな組み合わせは、合わないでしょw
aikoとマリリン・マンソンがデュエットするくらいに合わないっすよwww」
いわさきちひろと言えば、こちらの 《見つめあうライオンと女の子》 のように、
ふんわりとした温かみのある絵でお馴染みの画家。
いわさきちひろの絵を目にするだけで、ほんわかした気分になれます。
一方、香月泰男と言えば、 《北へ西へ》 や、
(今回の美術展には出展されていません)
《涅槃》
…など、シベリア抑留の体験をもとに描いた “シベリア・シリーズ” でお馴染みの画家。
香月泰男の絵を目にするだけで、どんよりと暗く重い気分になれます。
そんないわさきちひろと香月泰男を合わせて紹介するのが、今回の美術展。
ともに1974年にお亡くなりになっていますが、それくらいしか共通点が無さそうな二人です。
果たして、どんなコラボが生まれるというのでしょうか。
正直、想像が全くつきません。。。
ところが!
美術展を観終わった後の率直な感想は、
「合う!」
の一言。
「いわさきちひろと香月泰男?!いやいや、そんな組み合わせは、合わないでしょw
aikoとマリリン・マンソンがデュエットするくらいに合わないっすよwww」
とか言って、すいませんでした (>_<)
会場では、いわさきちひろと香月泰男の作品が、
「母のまなざし、父のまなざし」
「戦争」
「家族への想い」
「小さきものへのまなざし」
という4つのテーマで対比させ、
2人の画家が、根底において通ずる部分があったことを、明らかにしていました。
生前一度も出会ったことのない2人だそうですが、
“どこかでシンパシーを感じていたのでは?” と思わされるほど、
それそれは、しっくりと来る組み合わせでした。
いやぁ、よくぞ、こんな意外な組み合わせを見つけたものだと、企画した学芸員さんに拍手。
この組み合わせの発見は、ノーベル賞ものです (←?)
じゃがバターと塩辛の組み合わせを発見した人と同じくらいに、素晴らしい!
さてさて、このブログを読まれている方の中には、
この組み合わせに、まだ半信半疑の方もいらっしゃることでしょう。
いわさきちひろの作品に、母性愛が詰まっているというのは、もはや説明いらずでしょうが。
“シベリア・シリーズ” の作風からは想像がつきませんが、
意外にも、香月泰男の作品には、同じくらいに父性愛が詰まっていました。
例えば、 《父と子》
父親ならではの不器用な愛が感じられる一枚です。
同じ抱っこの絵でも、いわさきちひろの 《母の日》 と比べてみると、その差は一目瞭然。
《母の日》 に描かれている子供は、全身で母親に抱きついていますが。
《父と子》 に描かれている子供は、抱きつく気ゼロ (笑)
それでも、お父さんが、懸命に抱っこしています。
愛ですねぇ。
父親の心子知らず。子どもは母になつくものなのですね。
ちなみに。
この絵からもわかるように、香月泰男は、実は子供好き。
あまりに子供が好きすぎて、
“船が転覆してはいけないと子供を修学旅行に行かせなかった” というエピソードまで紹介されていました。
香月泰男へのイメージは、だいぶ変わりました。
また、いわさきちひろが、
身近な草花や小さな生き物をモチーフに作品を描いたことは、もはや説明いらずでしょうが
意外にも、香月泰男も、 《てんとう虫》 や 《そら豆》 など、
身近な草花や小さな生き物を愛情いっぱいに描いた作品を残しています。
そして、こんな作品 (?) も展示されていました。
無用なもの・捨てられたもので作ったおもちゃです。
ものすごくカワイイというわけじゃないですが、温かみがあって、ほっこりとします。
こういうおもちゃを作ってくれるお父さんに、憧れます。
“シベリア・シリーズ” の一面も、もちろん香月泰男ですが、
こういった愛情に溢れた父親の一面も、また香月泰男なのですね。
今回の美術展を通じて、いわさきちひろと同じくらいに、香月泰男のことが好きになりました。
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ちひろと香月泰男 ―母のまなざし、父のまなざし―
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