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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち

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蕭白ショック!!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-蕭白ショック


そのあまりにも思い切った美術展のタイトルに、
全美術関係者が震撼した (?) “蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち”
僕も、この美術展のタイトルに衝撃を受けてから、
楽しみで楽しみで、開催日を指折り待ち構えておりました。
というわけで、会期2日目の本日、早速、千葉市美術館に行ってまいりました。

しかも。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-年パス


千葉市美術館は、
これからも楽しそうな美術展が目白押しなので、 「友の会」 に入会しちゃいましたチョキ

なんとなんと、年会費2000円で、1年間美術展が観放題という破格の料金設定!
(ただし、一年目は、入会金として別途1000円が必要です)

素晴らしい美術展を数多く企画する上に、このサービス精神。
千葉市美術館の株は、グングン上昇しておりますアップ


さてさて、 “蕭白ショック!!” なる美術展。
こちらは、江戸時代中期に京都で活躍した曾我蕭白 (1730~1781) を大々的にフィーチャーした美術展です。
出展作の一つである 《雪山童子図》 を見てもわかるように、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-雪山童子図


その作風は、江戸時代のものとは思えないほど、パンクでファンキーなスタイル。
日本画ならではの 「わびさび」 や 「余白の美」 とは真逆を行く作風で、
画面いっぱいにゴチャゴチャと、執拗なほどに細密に描かれているのが、特徴です。
しかし、不思議と観ていて、嫌な気持ちはせず、
むしろフッと笑みをこぼしたり、ニヤリとさせられるのが、曾我蕭白最大の魅力。
これはあくまで、僕の個人的な印象ですが、

「曾我蕭白の作風=ヴィレッジヴァンガードのゴチャゴチャ感」

であるような気がします。
そう考えると、 “蕭白ショック!!” と名付けられたのも、何となく納得 (笑)
ヴィレヴァン好きなら、是非とも足を運んで頂きたい美術展です!
(反対に、ヴィレッジヴァンガードの雰囲気が苦手な人は、きっと曾我蕭白の作品にはハマらないでしょう…)


さて、今回の “蕭白ショック!!” には、重要文化財の 《寒山拾得図》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-寒山拾得図 アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-寒山拾得図
(注:後期 [5/8~5/20] に出展されます)


これまた重要文化財の 《群仙図屏風》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-群仙図屏風 左  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-群仙図屏風
(注:後期 [5/2~5/20] に出展されます)


もう一つおまけに重要文化財の 《楼閣山水図(月夜山水図)屏風》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-月夜山水図屏風(左隻)  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-月夜山水図屏風(右隻)
(注:後期 [5/2~5/20] に出展されます)


をはじめ、曾我蕭白の代表作の数々が展示されるのは、もちろんのこととしまして。
(このことが、 “もちろん” というところに、今回の美術展のスゴさを感じます)

展示の目玉は何と言っても、修復を終えたばかりの斎宮の旧家永島家伝来の障壁画。

《竹林七賢図 (旧永島家)》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-竹林七賢図 アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-竹林七賢図 右


《波濤群鶴図》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-波濤群鶴図
(注:前期 [4/10~4/30] に出展されます)


を含む全44面の襖すべてが、前後期に別れて出展されるのです。
(というか、家の襖の44面が曾我蕭白って、どんだけ永島家はパンクな家だったんだ?!)


また、美術展には、曾我蕭白だけでなく、
曾我蕭白が師事した画家や、曾我蕭白と同じ時代に京都で活躍した画家など、
曾我蕭白の周辺の画家の作品が紹介されているのも、大きな特徴。

《月夜白梅図》 をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-月夜白梅図


11点の伊藤若冲作品も展示されていますので、若冲好きは要チェックです!


展示されている作品のラインナップも素晴らしかったですが、
今回の美術展で、一番印象的だったのが、展示会場の空間を、いつも以上に広々とさせていた点。
おそらく曾我蕭白の作品自体は、ゴチャゴチャしているので、
観賞している人の圧迫感を減らそうと、展示空間は広々とさせたのではないかと。
だだ広い会場に、曾我蕭白の作品が間隔をおいて数点展示されているだけ。
そんな部屋もあったのですが、殺風景に感じるどころか、
それでもうるさく感じたところに、曾我蕭白の作品パワーの力強さを感じました。
そういう意味でも、曾我蕭白の魅力を最大限に引き出した美術展と言えましょう。

ただ一つ気になったのは、前後期のパワーバランスが悪いような。。。
後期のほうが、重要文化財が多く出展されるようで、
後期と比べてしまうと、どうにも前期のラインナップは、見劣りしてしまう。。。
会場で、後期のラインナップを知って、 『とに~ショック!!』 ですw
というわけで、今回はあくまで前期のみの感想で。
星星
「友の会」 に入会したので、後期も行くつもりです。
(その際に、星が増えるかも)


それと、もう一つ気になったのは、
冒頭にも、 「曾我蕭白の作風=ヴィレッジヴァンガードのゴチャゴチャ感」 と例えましたが。
千葉市美術館も、ヴィレヴァンを意識したのでしょうかね?
キャプションが、かなり笑いに走っていました。
千葉市美術館が、板橋区立美術館化していて、ショックです (笑)
(いや、僕はキライじゃないです)

印象的だったのを、いくつか。

 ・望月玉蟾 《九老図》 → 『蕭白の絵よりもかわいい』
 ・望月玉蟾 《双鶴図》 → 『めでたくもかわいくもなし』
 ・曾我蕭白 《寒山拾得図》 → 『レレレのおじさんは拾得』
 
こちらの 《獅子虎図屏風》 には、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-獅子虎図屏風 左隻 アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-獅子虎図屏風 右隻
(注:前期 [4/10~5/6] に出展されます)


『草食系唐獅子牡丹』 というキャプションが。

“何のこっちゃ??”

と思いましたが、よく見ると、
ちょっと怯えているような獅子の目線の先には、蝶々。
虫が苦手なタイプの唐獅子なのですねw


この 《獅子虎図屏風》 も印象的でしたが、
他にも、たくさん印象に残った作品がありますので、まとめてご紹介いたしましょう。

まずは、東京藝術大学所蔵の 《柳下鬼女図屏風》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-柳下鬼女図屏風
(注:前期 [4/10~4/30] に出展されます)


何だか、イッちゃってる鬼女です。
この絵を観て、パッと頭をよぎったのは、
最近、 「フライデー」 で奇行が報じられたばかりのあのプッツン女優さんです。
ハイな感じとか、そっくり。


続いて、千葉市美術館所蔵の 《虎渓三笑図》
《虎渓三笑図》 と言えば、
現在、東京国立博物館で開催中の “ボストン美術館 日本美術の至宝” にも、
蕭白が描いた 《虎渓三笑図屏風》 が展示されています。

$アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-虎渓三笑図屏風


東晋の僧侶・慧遠 (えおん) の元を尋ねた陶淵明 (とうえんめい) と陸修静 (りくしゅうせい) 。
慧遠は、俗世に通じるからという理由で、決して、橋を渡らない誓いを立てていたのですが、
話が夢中になるあまり、気づいたら、3人とも橋を渡っていて、3人で大笑いという一枚。

それと全く同じ画題を、同じく蕭白が描いているのですが、
千葉市美術館所蔵バージョンは、こんな感じに↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-虎渓三笑図


3人、小っちゃ (笑)

望遠にもほどがあるアングルです。
もはや、画題が全く分かりません。


最後は、普通に (?) 、心を鷲掴みにされた一枚。
(描かれているのは、鷹ですが)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鷹図
(注:前期 [4/10~4/30] に出展されます)


鷹だけでなく、艶やかに咲き誇っている花までも、襲って来そうな気配。
作品を前にしただけで、心がゾワゾワとしました。
曾我蕭白の凄味を、生理的に感じる一枚です。



ちなみに。
千葉市美術館の次の美術展は、 “浮世絵師 溪斎英泉” (5/29~7/8)だそうです。
こちらも気になります♪

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-浮世絵師 溪斎英泉


ポスターは、チェルシーみたいですね (笑)


<巡回情報>
三重県立美術館 6月2日(土)~7月8日(日)





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