資生堂ギャラリーによる新進アーティストの活動を応援する公募展。
それが、shiseido art egg。
節目となる第10回目の本年度は、全国各地より370件の応募があったそうです。
その入選者3名の個展が、今月より、各作家21日間ずつ開催されています。
トップバッターを飾るのは、“川久保ジョイ展” です。
1979年生まれスペイン出身の川久保ジョイさんは、
元金融トレーダーという異色の経歴を持つアーティスト。
今回の展覧会にも、金融をテーマにした新作が発表されていました。
展示空間の壁一面に広がる巨大な作品には、
《ダイダロスの滝/落命》、《イカロスの落水》 という題がそれぞれ付けられています。
いかんせん経済に疎いので、解説内の “膨大な政府債務や国債の利払いのうんぬんかんぬん” や、
“デフォルトを避けるために政府がなんちゃらかんちゃら” ってのは、よくわかりませんでしたが。
川久保さんが友人のトレーダーに予測してもらった日本の経済見通しを、グラフで表したものなのだとか。
(見る人が見れば、わかるのでしょう。きっと)
ちなみに、この作品。
壁一面にグラフ (をモチーフにしたもの) が描かれているわけではありません。
触ってビックリ。
壁を研磨したものなのです。
触感で楽しむアート作品でした。
触感の後は、嗅覚で楽しむアート作品を。
こちらは、資生堂のパフューマーとコラボした、香りにまつわる作品。
《香りについての4つのスタディ》 です。
1936年に発売されたという資生堂の香水・ホワイトローズナチュラルを再現した香りや、
それを現代的に解釈して作り出した香り、古代の真紅のバラをイメージを表現した香りを、
実際に嗅いで楽しむことが出来ます。
そんな3つの香水に交じって、何やら怪しげな液体が・・・。
なんと、こちらは、川久保ジョイさんの弟の汗を集めたもの。
かつて古代ギリシャのオリンピックでは、選手が競技後に、
自らの汗を土壺に入れ、ゼウス神に捧げていたという風習があったのだとか。
・・・・・昔は昔、今は今!
と、思わずツッコみたくなる作品です。
とりあえず、この汗の瓶は密封されていて何よりでした。
さすがに、見ず知らずの、それも男の汗なんて、嗅ぎたくはありません。
そんなチャレンジジョイ (←?) はお断りです!
さて、今回の展覧会で、やはり一番印象に残ったのは、
《千の太陽の光が一時に天空に輝きを放ったならば》 でしょう。
こちらの作品は、昨年のVOCA展で、見事、大原美術館賞に輝いた作品。
福島の原発を望む高台の地中に、写真撮影用の銀塩フィルムを埋め、
3ヶ月後に取り出し、それを引き伸ばしてプリントしたものが、この作品です。
いまだ都心の約4000倍もの放射線量が検出される土地柄だけに、
“目に見えない何か” が、フィルムに焼き付けられるのだとか。
心情としては、認めたくないのですが、
純粋に美しい色彩だと感じてしまっている自分がいます。
なんともアンビバレントな感情を引き起こす作品です。
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川久保ジョイ展
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