~前回のおさらい~
ダーツが刺さった街に行って、アートなものを探してくる新企画。
その名も、『関東一円アーツの旅』 。
記念すべき第一回目の行先は、埼玉県秩父市。
秩父美術館でランチとデザートを御馳走になり、
美術館の方々や作家さんらとの交流を、すっかり楽しんだ後は、秩父市芸術文化会館へ。
そこで、秩父市にゆかりの作家が多い事実のヒントを掴んだのであった。
「秩父のアートなものって何ですか?」
と、地元の方に聞いてみたところ、
「秩父銘仙じゃないかしら?ちちぶ銘仙館に行ってみたら?」
と多くの方からアドバイスを受けました。
銘仙と言えば。
昨年、泉屋博古館分館での展覧会で目にしたばかり。
それは、行かねば!
というわけで、ちちぶ銘仙館にやってきました。
ちちぶ銘仙館は、秩父銘仙の歴史や製造工程などを学ぶことができる資料館。
昭和5年建造の旧埼玉県秩父工業試験場だった建物を利用しており、
そのフランク・ロイド・ライト風の建物は、国の登録有形文化財にも指定されているのだとか。
秩父銘仙の羽織を着て記念撮影できるコーナーも用意されていました。
せっかくなので、羽織ってみることに。
銘仙を全く身につけたことがないので、
職員さんに、コーディネートして頂くことにしました。
テーマは、遊び人風とのことです (笑)
それはさておき。
秩父銘仙の一番の特徴は、
こちらの秩父地域出身の坂本宗太郎氏によって、
明治41年特許が取得された 「ほぐし捺染」 という技法にあるのだそうです。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
ほぐし捺染とは、そろえた経糸に粗く緯糸を仮織し、そこに型染めをし、製織する技法のこと。
糸に型染めをするため、表裏が同じように染色され、裏表のない生地が出来上がるのだとか。
つまり、もし汚れたなら、一旦バラして裏返せば、また綺麗に復活するというわけです。
館内には、そんな秩父銘仙を作るために使われた実際の機械や道具などが展示されています。
また、さまざまな秩父銘仙も展示紹介されていました。
「展示されている銘仙なので、一番の変わり種は?」
という質問に対し、職員さんが選んでくれたのが・・・
こちらのゼロ戦と軍旗がデザインされた銘仙でした。
確かに、これは珍しい。
さらに、展示室内では、こんなものを発見!
竹久夢二の絵はがきのデザインに、
秩父銘仙を着た女性が取り入れられていたようです。
と、僕が竹久夢二に喰いつていると、職員さんから、
「芸術家って言ったら、入り口にあったあの像は、
《長崎平和祈念像》 でお馴染みの北村西望の作だよ」
と教えて頂きました。
あっ、本当だ!
よくある感じの単なる胸像かと思っていました。
まさか北村西望の作だったとは!
さらに、こんなことも教えて頂けました。
なんでも北村西望は秩父市に一時疎開していたことがあるそうで、
秩父山地にある雲取山には、北村西望が制作した秩父宮殿下のレリーフがあるとのこと。
それは、是非観に行かないと!
と、勢い込んだのもつかの間、今の時期は雪に覆われているからやめた方がいいとのアドバイス。
しかし、どんな作品なのか気になります!
そうこうしていたら、職員さんが、「こんな感じだよ」 と見せてくれました。
・・・・・これなら危険を冒してまで、わざわざ観に行かなくてもいいや (笑)
ちちぶ銘仙館を後にし、最後に向かったのは、
午前中はまだ開店していなかった、観光案内所の方曰く、オシャレな額があるというあのカフェへ。
お店の名前は、WAPLUS COFFEE (ワプラスコーヒー) 。
一歩入ると、そこには、表参道かと思うくらいに、オシャレな感じの空間が広がっていました。
とりあえず、ワプラスお勧めのワプラスブレンドをオーダーしてみました。
ちょうどコーヒーウィークの期間中ということで、コーヒーの淹れ方もチョイスできるとのこと。
オシャレに (?) 、フレンチプラスでオーダーしてみました。
うん。確かにコーヒーは美味しいです。
そして、店内には、オシャレな額らしきものもあります。
でも、この企画って、こういうことじゃないんだよなぁ。
秩父市のオシャレカフェを紹介するなんて。
『OZmagazine』 や 『Hanako』 あたりで、やっていればいいのです。
念のため、店員さんに、
「観光案内所の方に、オシャレな額があるって聞いて来てみたのですが・・・」
と伝えたところ、
「それは、きっと向かいのWAPLUSのほうのことですよ。こちらはWAPLUSが経営しているカフェです」
と教えて頂きました。
というわけで、WAPLUSへ。
店員さんに単刀直入に、オシャレな額について尋ねてみました。
すると、「あぁ、これのことですね」 と紹介されたのが、こちらの額です。
もちろん、オシャレな気もしますが。
もう少し綺麗な額を想像していたので・・・。
「あの~、普通の額とどこが違うのでしょうか?」
実は、こちらのWAPLUSさん。
店舗設計や住宅・リフォーム設計、オーダー家具などを手掛ける会社。
仕事柄、秩父にる古民家をリフォームしたり解体することもあるそうで。
その際に発生した捨てられる運命にあった木材を、
家具や額として生まれ変わらせ、新たな命を吹き込んでいるのだとか。
なるほど。
時代を経た木材にしか出せない風合いを活かした額だったのですね。
ただの汚れた額だと思ってしまって、ゴメンナサイ。
ちなみに、この額はカスタムオーダーが可能とのこと。
アーティストの皆様、是非自分の作品の額に注文してみてはいかがでしょうか。
「実際に、この額を作品に使っているアーティストさんっていますか?」
「いますよ。秩父に住んでる若いアーティストさんです。
昨年、うちのお店で展覧会をやりました。今年もやる予定です。」
そう言えば。
お昼にお会いした画家の大野登さんが、
秩父にある古民家がどんどん少なくなっていると仰っていましたっけ。
でも、その古民家の一部から生み出された額を使って、
秩父の若いアーティストが作品を制作し、ここ秩父の地で個展を開催しているわけです!
巧いこと、繋がっているものですね。
不思議な巡り合わせを感じずにはいられない秩父市での旅でした。
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関東一円アーツの旅 埼玉県秩父市編その3
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