サントリー美術館で開催中の “没後100年 宮川香山” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
こちらは、明治から大正期にかけて活躍した “陶芸界のファンタジスタ” 宮川香山の大規模な回顧展です。
1876年(明治9) フィラデルフィア万国博覧会 銅牌
1878年(明治11) パリ万国博覧会 金牌
1879年(明治12) シドニー万国博覧会 特絶一等賞
1880年(明治13) メルボルン万国博覧会 一等賞
1881年(明治14) 第二回内国勧業博覧会 有功賞牌一等
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と、書き連ねたらキリがないほどの輝かしい受賞歴からも想像がつくように、世界的にも名声の高い宮川香山。
大英博物館をはじめとする世界的な美術館や海外のコレクターも宮川香山の作品を所蔵しています。
しかし、その名声にも関わらず、
日本で宮川香山の作品が大々的に紹介される機会は、これまでほとんど無かったのだとか。
ちなみに、今回の展覧会に出展されているのは、貴重な国内にある宮川香山作品ばかり。
スポーツチャンバラの創始者でもあり、宮川香山の研究において第一人者でもある田邊哲人氏が、
約50年の歳月をかけて蒐集した質・量ともに日本一ともいえる宮川香山コレクションを中心に紹介しています。
宮川香山の作品と言えば、やはり何と言っても、世界を驚かせた 「高浮彫」 という技巧。
絵や模様などを厚く浮き上がらせ、立体的に装飾する技巧です。
宮川香山 《高浮彫南天ニ鶉花瓶 (一対)》
明治時代前期 19世紀後期 田邊哲人コレクション
こちらの作品に乗っている蟹も、
こちらの作品の上に乗っているカワイイにゃんこも、
彫刻にしか見えませんが、れっきとしたやきもの。
やきものを作ったことが無い素人の自分が観ても、その技術の高さに驚きを禁じえませんが。
陶芸家や陶芸の研究者からすれば、より驚きを禁じえない作品なのだそうです。
例えば、コーヒーカップの取っ手。
焼いている際に、重みで取っ手部分が下に引っ張られ、上面が歪んでしまうことがあるのだとか。
(それを防ぐために、ひっくり返して焼くことがあるそうです。そうすれば、上面は歪まない)
コーヒーカップの取っ手ですら、それだけ影響するわけですから、
あれだけ陶器の表面にゴテゴテした (?) 装飾をつけたなら、普通はもっと歪みが生じるはずなのです。
にもかかわらず、宮川香山の作品は、完璧な形で焼きあがっています。
どうやって、このような作品を宮川香山が作ったのか、現在でも謎に包まれているのだとか。
まさに、超絶技巧。いや、超超絶技巧です。
そんな宮川香山の超超絶技巧な作品が、会場にたっぷりと展示されています。
照明の当て方も、実に素晴らしかったです。
作品1点だけでも、見応えいっぱいなので、
全作品をじっくり観ていたら、正直なところ、お腹がパンパンになってしまいました。
胸やけすらしたほどです (←たくさん観られて、有難かったのですがw)
バイキングに挑むくらいのつもりで、心をペコペコにして訪れることをおススメいたします。
ちなみに、今回の展覧会では、写真撮影コーナーが設けられていました。
気に入ったアングルで撮影して、スマホの待ち受けにしてみてはいかがでしょうか?
宮川香山の 「高浮彫」 の作品も、もちろん良かったのですが。
今回は個人的には、後半で紹介されていた宮川香山の磁器作品が良かったです。
普通に磁器作品が展開されているので、何の違和感も覚えなかったのですが。
実は陶器も磁器も両方極めた作家というのは、世界的にもかなり珍しい存在なのだとか。
宮川香山、天才にもほどがあります。
特に印象に残ったのは、今回が初公開というこちらの作品です。
宮川香山 《釉下彩白盛鶏図大花瓶》
明治時代中期~後期 19世紀後期~20世紀初期 田邊哲人コレクション
ニワトリの羽根が重なり合う表現が、実に見事。
思わず食い入るように見つめてしまいました。
ニワトリの作品で、ここまで感銘を受けたのは伊藤若冲以来です。
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没後100年 宮川香山
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