本日ご紹介するのは、東京国立近代美術館で開催中の “安田靫彦展” 。
歴史画の傑作を数多く残した日本画家・安田靫彦 (やすだゆきひこ) の大々的な回顧展です。
源頼朝・義経兄弟の対面を描いた 《黄瀬川陣(きせがわのじん)》 をはじめ、
安田靫彦 《黄瀬川陣(きせがわのじん)》 [重要文化財]
1940-41年 東京国立近代美術館蔵 全会期展示]
法隆寺が所蔵する 《聖徳太子像》 や山種美術館が所蔵する 《出陣の舞》 などなど、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
安田靫彦の代表作の数々が、日本中から大集結!
さらには、足立美術館蔵の 《王昭君》 を筆頭に、
(注:展示は4月17日まで)
“靫彦戦後の3大美女” 作品も揃い踏み!!
まさに、安田靫彦のベストアルバムのような展覧会でした。
安田靫彦作品の魅力は、何と言っても、線の美しさ。
一点の曇りもない線です。
くわえて、画面全体に品格が漂っています。
料理に例えると、ものすごく上品なお吸い物といったところでしょうか。
薄味ゆえに、人によっては物足りなさを感じる方がいらっしゃるかもしれません。
スーッとして雑味のないお上品な絵が多く、
良くも悪くも、舌先に味が残らなかった (=強く印象に残らなかった) のですが。
気になった作品も、ちらほら。
例えば、《風神雷神図》 。
僕らがイメージする風神雷神の姿を、いい意味で裏切って、少年風に描いています。
なんとなくジャニーズJr.っぽい気がします。
あくまで、なんとなくですが。
また、《宮本二天像》 もジワジワ来る一枚。
なんだか、ツルンとした宮本武蔵です。
剣豪・宮本武蔵なのに、全然強そうではありません。
宮本武蔵からアクを取り除いた、その残りといった感じです。
“靫彦戦後の3大美女” 作品のうちの1枚、《卑弥呼》 も味わい深い一枚でした。
安田靫彦 《卑弥呼》
1968年 滋賀県立近代美術館蔵 [3/23~4/17展示]
邪馬台国=九州説にのっとり、阿蘇山をバックにした卑弥呼が描かれています。
(この作品の4年後には、邪馬台国=畿内説にのっとった 《大和のヒミコ女王》 という作品を描いているそうです)
奈良県桜井市の茶臼山古墳から出土した4世紀頃の玉杖を参考にするなど、
丹念に時代考証を重ねた上で、描かれているそうなのですが、一つ気になる部分が。
それは、服の柄。
なかなかにアヴァンギャルドな魚柄でした。
H&Mで売っていそうな。
と、このように、どこかユーモラスな印象を受ける作品も少なからずありました。
ときには、チャーミングな一面をのぞかせる安田靫彦です。
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安田靫彦展
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