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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて

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本日ご紹介する美術展は、“ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて”
埼玉県立近代美術館で5月22日まで開催されています。

埼玉
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


この展覧会の主人公ジャック=アンリ・ラルティーグは、
“世界でもっとも偉大なアマチュア写真家” と評されている人物です。
お金持ちの家に生まれたラルティーグ。
そんな彼がカメラをはじめたのは、なんと7歳の時!
当時は超高額だったカメラを、父親からプレゼントしてもらったのだそうです。

「この幸せな瞬間が、すぐに目の前から消え去ってしまうのが怖い・・・」

と恋愛中のOLみたいな (?) 悩みを常に抱えていたラルティーグ少年は、
瞬間を残すことの出来るカメラという新しい機械に夢中になり、生活のあらゆる場面を写真に収めることに。
さらに、そのカメラ熱は大人になっても一切衰えることなく、
ラルティーグは自分の好きなあらゆるものを、カメラで撮り続けたのです。

ちなみに、彼の本業は画家。
写真はあくまで趣味に過ぎなかったのですが。
ひょんなことから、69歳の時にニューヨーク近代美術館で、
ラルティーグが子ども時代から撮り続けた写真の展覧会が開催されることに。
その展覧会は評判に評判を呼び、写真家としては超遅咲きのデビューながら、
ラルティーグは、一躍フランスを代表する写真家の一人に数えられるまでになったのです。
ただし、世間に評価されたからといって、プロの写真家になるつもりは、さらさらなく。
92歳で亡くなるまで、アマチュア写真家を貫いたのだそうです。


お金持ちの家に生まれ、画家としてはパッとしないのに、人生でお金に不自由することなく。
趣味の写真で、世界的な名声を得たジャック=アンリ・ラルティーグ。
その上、3回も結婚しています (しかも、3人とも美人!) 。
こんなリア充にもほどがある人間なのに、不思議と嫉妬心は芽生えませんでした (笑)
その理由は、おそらく彼の撮る写真が、どれも底抜けに明るいから。

スージー 《スージー・ヴェルノン ロワイヤン》 1926年9月
Photographie Jacques Henri Lartigue © Ministère de la Culture - France/AAJHL


ダニ 《ダニとミションとボビー、フリボール・クラブにて カンヌ》 1936年5月
Photographie Jacques Henri Lartigue © Ministère de la Culture - France/AAJHL



鼻につく感じは、一切ありません。
写真を撮っているラルティーグの楽しさが伝わってくるし、
写真を撮られているモデルたちの楽しさも伝わってくるし。
観ているだけで、ハッピーな気持ちに。
とにかく明るい写真です。


また、ただ明るいだけの素人っぽさ満点の写真というわけでは決してなく。
スピード感を表現してみた写真など、

レーシングカー 《レーシングカー「ドラージュ」、A.C.F.グランプリ ル・トレポー》 1912年6月26日
Photographie Jacques Henri Lartigue © Ministère de la Culture - France/AAJHL



探究心に満ちた写真が多いのも、ラルティーグの魅力です。
きっと金持ちだから、いろいろと試せたのもあるのでしょうけど (笑)
(今と違って、フィルム代や現像代も高額だったので)


今回の展覧会では、そんなラルティーグの子ども時代から、
晩年までの代表的な作品が、埼玉県立美術館らしく名作椅子のある空間で展示されています。

名作椅子  名作椅子


さらに今回の見どころは、なんといってもラルティーグのカラー写真。
その多くが、日本初公開となっています。

カラー写真  カラー写真


ラルティーグといえば、モノクロのイメージしか無かったので。
実は、そこまで期待していなかったのですが・・・

カラー > 《フロレット ヴァンス》 1954年5月
Photographie Jacques Henri Lartigue © Ministère de la Culture - France/AAJHL



カラー写真は、カラー写真の良さがありました。
というか、インスタグラムっぽい!
「#sun」 とか 「#happy」 とか、
「#おしゃれなインテリア」 といったハッシュタグがついていても違和感がないです。


写真好きな方はもちろんのこと、
「写真展ってイマイチ楽しみ方がわからないんだよねぇ・・・」 という方にもオススメです。
星星


ちなみに、これから足を運ばれる方へ。
ラルティーグの写真には、実の兄であるジスーがちょいちょい登場するのですが
常に全力でおちょけているので、要チェックです。
結構な年齢になっても、おちょけていたので、人として心配になったほどです。
・・・・・あ、でも、金持ちの家だから心配いらないのか。




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