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レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想

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レオナルド・ダ・ヴィンチの未完の名作 《ほつれ髪の女》 が来日したと聞きまして。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ほつれ髪の女


Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の “レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想” に行ってきました。
6月10日まで。

ダ・ヴィンチから強く影響を受けた弟子の作品や、
後世に描かれた様々なダ・ヴィンチ関連の作品など、 “にぎやかし” の作品には目もくれず (笑)
会場に入るやいなや、 《ほつれ髪の女》 のもとへ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ほつれ髪の女


その感想は、 「なんも言えねえ」 の一言。
本物の持つオーラに、ただただ圧倒されました。
ほつれた髪の部分は、お世辞にも、本物の髪らしさを全く感じませんでしたが (笑)
それだけに、女性の顔の描写の素晴らしさが際立っていました。
本当に、そこには、 “リアル” がありました。
女性の頬の柔らかさが伝わるかのよう。
女性の息遣いが聞えて来るかのよう。
女性の瞼のけいれんが見えるかのよう (←?)
女性の瞼に出来た皺や、Tゾーンのてかりまでも、
完璧に再現されており、まさに生きているかのよう。

以前に、東京国立博物館で 《受胎告知》 を観た際にも、
もちろんレオナルド・ダ・ヴィンチのオーラに圧倒されましたが。
むしろ、未完なのに圧倒されたという意味では、
《受胎告知》 よりも、 《ほつれ髪の女》 のほうが一段上だった気がします。


この一枚が観られるだけでも3ツ星・・・と言いたいところですが。
今回の美術展は、 《ほつれ髪の女》 以外の “にぎやかし” 作品が、目に余って目に余って。。。

「レオナルド・ダ・ヴィンチの未完>>>>>ダ・ヴィンチから強く影響を受けた弟子の完成作品」

というくらいに、その出来映えには、大きな差が。
役者が違うにもほどがあり、《ほつれ髪の女》 以外の作品は、むしろ観ていて痛々しかったほどです。
いや、ダ・ヴィンチから強く影響を受けた弟子たちも頑張っていないわけではないのです。
頑張っても越えられない圧倒的な壁が、同じ美術展会場に展示されていただけです。
なんというか、 『122-0』 の高校野球を観戦しているような、そんな気分になりました。

正直なところ、 《ほつれ髪の女》 が素晴らしいだけに、
それ以外の作品で、水増しした感が否めなくて、1つ星。
星
“無理に美術展の会場を作品で埋める必要はないのに・・・” の悪い見本のような美術展。


あ、もちろん。
《ほつれ髪の女》 以外では、
レオナルド・ダ・ヴィンチの若き頃のデッサン 《衣服の習作》 は素晴らしかったです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-衣服の習作


人は描かれていないのに、ちゃんと人が着てるように見える。
このデッサン力は、さすがです。


でも、今回の美術展の目玉の一つである 《岩窟の聖母》 は、 「・・・・。」

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-岩窟の聖母


ルーヴル美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリーに続いて、
3点目の 《岩窟の聖母》 とされる、こちらの一枚。
個人蔵のため、研究者でも滅多にお目にかかれないという超貴重な作品です。
一応、レオナルド・ダ・ヴィンチとその弟子による共同制作と、
今回の美術展の監修者のカルロ・ペドロッティさんは、おっしゃっているようですが。

この 《岩窟の聖母》 からは、まぁ、オーラを感じませんでした (笑)

僕は専門家でもなんでもないので、
ただただ、この作品には、胡散臭さしか覚えませんでした。
(本当のところは、レオナルド・ダ・ヴィンチが手を加えたのかもしれませんけれども)


それと、美術展のもう一つの目玉 《アイルワースのモナ・リザ》 を筆頭に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アイルワースのモナ・リザ
(レオナルドによる1503年の未完成作説あり)


レオナルド・ダ・ヴィンチ構想/サライ(帰属) 《裸のモナ・リザ》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-裸のモナ・リザ


など、総勢約20点のいろいろな 《モナ・リザ》 が展示されているコーナーがあったのですが。
どれもこれも、 “なんちゃって 《モナ・リザ》 感” が強く、
そっくりさん大集合という感じで、チープさ満開でした (笑)
僕は、ルーヴル美術館に行ったことがないので、
実物の 《モナ・リザ》 を観たことはありませんが、
それでも、美術展で展示されていた 《モナ・リザ》 作品は、
本やテレビで目にする 《モナ・リザ》 よりも、数段劣っているように思えました。
いかに、 《モナ・リザ》 がスゴイか、改めて実感した次第です。


たくさんの凡作が展示されていたことで、
《ほつれ髪の女》 の素晴らしさが際立ち、
さらには、美術展の会場にはない 《モナ・リザ》 の素晴らしさにまで想いを馳せること出来たのは確か。
これはこれで、一つの理想のダ・ヴィンチ展の形と言えるのかもしれません。




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