板橋区立美術館で開催中の “館蔵品展 絵画・時代の窓 1920s~1950s” に行ってきました。
こちらは、板橋区立美術館の館蔵品の中から、
1920年代から1950年代までの激動の時代に描かれた作品を中心に紹介する展覧会です。
プロレタリア文学が流行した1920年代には、その絵画版と言うべきプロレタリア絵画が、
満洲事変で幕を開けた1930年代には、シュルレアリスムに影響を受けた不穏な空気の絵画が、
太平洋戦争真っ只中の1940年代には、戦前と戦後でまったく違うスタイルの絵画が、
そして、1950年代には、当時の社会問題をモチーフにした絵画が描かれるようになりました。
まさに、アートは時代を映す鏡であることが実感できる深イイ展覧会です。
ちなみに、館蔵品展なので無料。
板橋区立美術館はややアクセスに難はありますが、それでも訪れておきたい展覧会です。
時代が時代だけに、ハッピーな気持ちになれる作品は多くありません (笑)
基本的には、NHKのドキュメンタリーを見ているような (?) 気分になります。
とは言え、なかなか他の展覧会では目にすることが無いような掘り出し物が多い展覧会でした。
個人的に一番印象に残っているのが、峰村リツ子の 《本棚》 という作品です。
峰村リツ子の師匠は、フランスに渡り、ブラマンクに師事し、
その後、一貫してフォービスム風の作品を制作し続けた洋画家・里見勝蔵。
そんな師匠の影響を強く受けたのでしょう。
ただの本棚を描いた絵画が、完全にフォービスム。完全にブラマンク味。
ちなみに、本棚をよく見ると、
「マチス」 「ピカソ」 「ルウソオ (←おそらくルソーのこと)」 の本があるのがわかります。
・・・いや、そこは、ブラマンクは無いんかい!
それから、印象に残っているといえば、河辺昌久の 《メカニズム》 も。
直視していると、夢に出てきそうな怖さがありました。
ちなみに、作者の河辺昌久の本業は、歯科医師とのこと。
言われてみれば、ドリルみたいなものが見て取れます。
治療中に、頭の中でこの絵のような光景を想像しているとしたら・・・・・ゾッとしました。
ここの歯医者には通いたくないです (笑)
もちろん楽しげな作品もありましたので、ご安心を。
例えば、片谷瞹子の 《狭き尾根》 。
一見すると、普通の (?) シュルレアリスム絵画ですが。
リボンのついたハサミが作る影が、
子どもをおぶった母親のように、巧いことなっています。
ほっこりしますね。
でも、冷静に考えると、かなり巧いこといかないと、あの影の形にはならない気がします。
そこは華麗にスルー。
そんな 《狭き尾根》 を含む3点の片谷瞹子作品が紹介されていましたが、
それらはすべて昨年度に寄贈されたばかりだそうで、今回の展覧会が初披露の場となっています。
寄贈ホヤホヤの作品は、他にも多くあり、日笠薫の 《炭坑内の人々》 もその一つ。
こちらの作品に関しては、これまで存在すら知られていなかったそうで、
数十年の時を経て、まさに日の目を見た作品というわけです・・・・・だいぶ真っ暗ですが。
最後に、日本を代表する抽象画家・難波田龍起の若手時代の作品 《ヴィナスと少年》 をご紹介。
意外にも、シュルレアリスム風の作品です。
デ・キリコとかダリとかの影響をもろに受けてしまっている感じがします。
青春ですね。青いですね。
こっちの方向に進まなくて良かったなァ。
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館蔵品展 絵画・時代の窓 1920s~1950s
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