・・・今回の主役は、修造は修造でも、
松岡修造ではなく、日本を代表する美術評論家・瀧口修造 (1903-1979) 。
その瀧口修造が最晩年に至るまで精神的な交流をしていたのが、20世紀を代表する偉大な芸術家マルセル・デュシャン。
現在、千葉市美術館では、
そんな2人の交流を紹介する展覧会 “瀧口修造とマルセル・デュシャン” が開催中です。
生涯を通じて、日本の美術界に、マルセル・デュシャンを紹介し続けた瀧口修造。
彼もまた、松岡修造なみに、熱い男です。
展覧会では、瀧口修造の著作から、書簡、手稿、画稿、ノートに至るまで。
多岐にわたる瀧口修造のアーカイヴを展示し、
いかに、彼がマルセル・デュシャンと深い繋がりがあったのかを紹介しています。
・・・が。
ただでさえ、難解なマルセル・デュシャンのアート。
例) 《泉》
(この作品についての簡単な解説は、過去の記事に)
・・・を日本に、評論家という立場で、紹介した瀧口修造。
コレクション瀧口修造〈3〉デュシャン・寸秒夢/滝口 修造
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・・・を紹介する展覧会。
これが、難解でないわけがありません
久しぶりに、脳みそをこねくり回されるような感覚の展覧会でした (笑)
起きぬけの冴えない頭で行ってはいけない展覧会。
基本的に展示されているのは、瀧口修造ワークスなので、
約300点の展示品のうち、大半は、アート的な感動があるものではありません。
それでも、瀧口修造にゆかりのある芸術家を紹介するコーナーもあるので、ある程度はアートも楽しめます。
(但し、基本は難解なアート)
今回の展覧会で、僕が唯一楽しめたのは、
マルセル・デュシャンにインスパイアされた日本人アーティストたちの作品でしょうか。
それぞれに、かなり個性が表れていて、見比べると楽しかったです。
例えば、デュシャンの代表作の一つ 《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》
(長ったらしいので、通称は、 《大ガラス》)
これにインスパイアされた瀧口修造は、
オブジェ作家の岡崎和郎とコラボして、 《檢眼圖》 という作品を作ります。
これは、 《大ガラス》 の右中央にある図形を、そっくりそのまま立体化した作品。
なんとなく、真面目な人柄が表れている気がします (←想像) 。
続いて、そのオブジェ作家の岡崎和郎が、
ピンで (個人で) 制作した作品 《マルセル・デュシャン(人名録より)》 。
ガラス製の 《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》 。
フィラデルフィア美術館におかれているオリジナル版は、
輸送の際に、事故で粉々に割れてしまったため、ひびが入っています。
岡崎和郎は、その事故をイメージさせる作品を作ったのです。
なんとなく、アーティストらしい皮肉的な人柄なのでしょう (←想像) 。
最後に紹介するのは、吉村益信。
彼が、 《大ガラス》 から、
インスピレーションを受けて作ったのは、タイトルも全くおなじ 《大ガラス》 という作品
こちらです↓
・・・・・・・・。
「ダジャレか~い!!」
確かに、大きいカラスで、大ガラスです。
それ以上でも、それ以下でもなく。
なんとなく、おふざけがすぎる人柄なのでしょう (←想像) 。
この 《大ガラス》 のくだらなさは、
真面目なトーンの展覧会だっただけに、群を抜いて、インパクト大。
僕は、 《大ガラス》 を一生忘れない。
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瀧口修造とマルセル・デュシャン
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