先日、こちらのブログにて、
東京にあった芸術家村 “池袋モンパルナス” を取り上げた美術展 をご紹介いたしましたが。
「実は、渋谷にも、芸術家村 (アーティスト・コロニー) が、あったんですよ!」
というのが、今回紹介する美術展。
渋谷区立松濤美術館で開催中の “渋谷ユートピア1900-1945” です。
・・・ちなみに。
実際に、渋谷に芸術家村があったというわけではなく。
あくまで、渋谷区立松濤美術館的に、
「実は、渋谷にも、芸術家村 (アーティスト・コロニー) が、あったんですよ!
そういうことにしましょうよ!!」
ということ。
そもそも、渋谷ユートピアという名称も、渋谷区立松濤美術館が命名したものです。
つまり、今回の美術展で紹介されている芸術家たちは、
“俺たちは、渋谷ユートピアの一員さ”
と思ったことは、生前一度もなかったはず。
とは言え、渋谷区立松濤美術館開館30周年記念特別展だけあって、丁寧に作り込まれた美術展。
「なるほど。渋谷にも、芸術家村的なものはあったんだな!」
と納得出来る内容でした。
今後、渋谷ユートピアという言葉が定着したらいいなという期待を込めて。
では、実際、どんな芸術家たちが、渋谷ユートピアの一員として展示されていたのか。
そのメンバーの一部をご紹介いたしましょう。
まず、最初は、明治を代表する日本画家・菱田春草。
彼の代表作といえば、重要文化財 《落葉》
森林のミストまで体験できるような、素晴らしい作品です。
都会には、こういう場所ないですもんねぇ・・・と思いきや、この絵の舞台となったのは、代々木。
今でこそ、若者の街・渋谷ですが、100年前には、このような景色が当たり前だったのだとか。
ちなみに、今回の美術展には、
重要文化財の 《落葉》 は、展示されていませんが。
(パネルでは紹介されています)
菱田春草が描いた他の作品は、ちゃんと展示されています。
・・・さすがに、鹿はいなかったでしょうが (笑)
昔の渋谷に鹿はいなかったのでしょうが、ヤギはたくさんいたそうです。
こちらの2作品は、洋画家の辻永が、昔、渋谷にあった山羊園を描いたもの。
今の渋谷からは想像もつかない、のどかな光景です。
昔の渋谷を描いた絵といえば、こちらも忘れてはいけません!
岸田劉生の 《道路と土手と塀(切通之写生)》
この坂は、現在の住所でいうと、代々木四丁目にあるそうです。
もちろん、この作品も重要文化財ゆえ、今回の美術展では展示されていませんでしたが。
(これまた、パネルでは紹介されています)
代わりに、岸田劉生が、この辺りを描いた別の絵が展示されていました。
《赤土と草》
この他にも、渋谷に住んで活動をしていた芸術家として、
岡田三郎助、杉浦非水、村山槐多、竹久夢二など有名な方から、そうでもない方まで紹介されていました。
(誰が、 ‘そうでもない方’ なのかは、言いますまい)
そんな中、一人気になる作家の名前を発見。
《谷中真島町(モデル坂付近)》 を描いた寺田政明です。
“あれ?寺田政明は、確か、池袋モンパルナス展でも登場したはず・・・”
関ジャニ∞にもNEWSにも所属していた錦戸クンみたいな感じなのでしょうか。
最後に、もう一つ。
今回の美術展では、意外な彫刻作品が紹介されていました。
意外ではありますが、言われてみれば、確かに、渋谷で一番有名な彫刻作品です。
《日本犬ハチ》 の像。
いわゆる、忠犬ハチ公の像です。
この像を作ったのは、安藤照という彫刻家なのだとか。
これまで、一度も意識したことがなかったですが、実は、立派な彫刻作品なのですね。
ちなみに、現在、渋谷駅前にあるのは、二代目の像。
初代は、戦争中に戦火の被害にあってしまったのだそうです。
今ある二代目のハチ公像を制作したのは、安藤照ではなく、その息子の安藤士。
彫刻家も二代目なのでした。
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渋谷ユートピア1900-1945
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