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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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シャルロット・ペリアンと日本

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目黒区美術館で開催中の “シャルロット・ペリアンと日本” に行ってきました。

こちらは、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-シャルロット・ペリアン


フランス人女性デザイナーのシャルロット・ペリアン (1903~1999) にスポットを当てた展覧会です。
あの建築界の巨匠ル・コルビュジエに、その才能を見込まれ、
インテリアデザインが苦手だったル・コルビュジエは、ペリアンに内装を任せていたほどだったそうな。
また、本国であるフランスで活躍したのは、もちろんのこと、
ル・コルビュジエのアトリエで同僚であった坂倉準三の推薦により、
商工省の “輸出工芸指導顧問” として来日し、日本でも精力的に活動をします。
当時の最先端であったヨーロッパのモダン・デザインの思想を、
日本全国に説いてまわり、戦後の日本デザイン界に大きな影響を与えたのだそうです。


そんな彼女の代表作の一つが、
ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレと共同でデザインした、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-LC4


おそらく、誰もが一度は目にしたことがあるであろう超高級シェーズ・ロング(寝椅子) の 《LC4》 です。
ちなみに、この 《LC4》
今お買い求めしますと、お値段は、なんと¥567,000[税込] 也。

「高~い!」

しかも、こちらの毛皮タイプですと、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-LC4


¥630,000[税込] 也。

「さらに高~い!!」


と、そんな名作 《LC4》 の発表から約20年後、
シャルロット・ペリアンは、新たなシェーズ・ロングを完成させました。
それは、彼女の日本滞在の経験から生まれたシェーズ・ロング。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-竹製シェーズ・ロング


《竹製シェーズ・ロング》 です。
日本人デザイナーによる “和に洋を融合させた” デザインは、いくつも目にしてきましたが。
こちらは、その逆。
海外のデザイナーが、 “洋に和を融合させた” デザインです。
シェーズ・ロングという概念自体、日本人の発想になかったでしょうから、
ペリアンが、もし日本に滞在していなかったら、この 《竹製シェーズ・ロング》 は、生まれていなかったはず。

《LC4》 は、絶対に縁側には合わないですが、
この 《竹製シェーズ・ロング》 なら、縁側に置いて、まったりとしてみたいものです。
ほぼ同じ形でも、素材だけで、こんなに印象が変わるのですね。


さてさて、会場には、この他にも、
“シャルロット・ペリアン@日本” ならではのデザインが展示されていました。

例えば、こちらの 《ビブリオテック・ニュアージュ》 という書架。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-《ビブリオテック・ニュアージュ(書架「雲」)》


Q:一体、ペリアンが、何から着想を得たか、おわかりになりますか?

正解は、日本の床の間の脇で見かける 『違い棚』 。

と、実は、もう一つ。
日本美術に登場する 『雲』 をイメージしているのだとか。

(参考資料)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-歌川広重「名所江戸百景」より


シンプルでモダンなデザインなのに、
どことなく “和” を感じるには、こういう理由があったのですね。


続いて、もう一問。
《オンブル》 という椅子をご覧ください。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-オンブル  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-オンブル


Q:一体、ペリアンが、何から着想を得たか、おわかりになりますか?

ヒントは、オンブルというネーミング。
日本語にすると、 「影」 です。


正解は、文楽の黒子。
人形には意識が向かうものの黒子の衣装は意識して見られないことに発想を得たのだとか。
なるほど。どんな場所に置いても、確実に、馴染むデザインというわけですね。
さらに、この 《オンブル》 は、
一枚の板に切れ込みを入れて、折り曲げて出来たというシンプルな形ながら、
ちゃんとスタッキング可能という優れモノ。
シャルロット・ペリアンのデザイン力の高さに、舌を巻く逸品です。


こんな感じで、シャルロット・ペリアンのデザインが、
たくさん紹介されている展覧会だったら、もっと楽しめたのですが。
ペリアンのデザインは、展覧会の出展作の、約半分未満だったでしょうか。
今回の展示のほとんどは、
ペリアンが撮った写真やら、ペリアンの書いた手紙やら、当時の雑誌…などなどなど、
ペリアンと日本の関わりを紹介する資料がメインでした。
デザインを楽しみにして行くと、ちょっと肩すかしをくらうかも。


まぁ、よく考えれば、確かに、展覧会のタイトルは、
“シャルロット・ペリアンのデザイン” ではなく、 “シャルロット・ペリアンと日本” となっています。
タイトルには、偽りなしですね。。。
星


最後に。
今回の展覧会で一番印象的だったシャルロット・ペリアンのエピソードを。

1941年に、髙島屋で、
“ペリアン女史 日本創作品展覧会 2601年住宅内部装備への一示唆” が開催されました。
この展覧会で、ペリアンは、日本ならではの素材や技術の利用を提示したのだそうです。
《竹製シェーズ・ロング》 も、この展覧会で発表されました)

と、その一方で、当時、大先生と言われていた現代工芸作家の作品を、
ケースに×印をつけ、 「よくないものの例」 として紹介したのだとか。
何と大胆な (笑)
今で云う、ローラみたいな方だったのかもしれません。




えっとね、う~んとね、
この下のボタンを押してくれるとハッピーかもー!ウフフ☆
押してくれなくても、まぁいっか~気にしな~い ばいばーい♪ (ローラ風)

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