現在、横浜美術館では、“メアリー・カサット展” が開催されています。
こちらは、印象派を代表する女性画家メアリー・カサットの国内では実に35年ぶりとなる大回顧展です。
展覧会の目玉は何といっても、待望の初来日となるカサットの傑作 《桟敷席にて》 。
《桟敷席にて》 1878年 油彩、カンヴァス 81.3×66.0cm ボストン美術館蔵
The Hayden Collection-Charles Henry Hayden Fund, 10.35. Photography © 2015 Museum of Fine Arts, Boston
オペラグラスで、舞台をガン見する女性。
その姿をガン見する僕 (=鑑賞者)。
2つの視線を強く意識させられる作品です。
・・・・・と思ったら、よく見れば、画面の奥に女性をガン見する怪しげな男性の姿を発見。
前言撤回。
3つの視線を強く意識させられる作品でした。
そして、もう一つの展覧会の目玉が、カサットの代表作 《眠たい子供を沐浴させる母親》 です。
《眠たい子どもを沐浴させる母親》 1880年
油彩、カンヴァス 100.3×65.7cm、ロサンゼルス郡立美術館蔵
Digital Image © 2015 Museum Associates / LACMA. Licensed by Art Resource, NY
こちらは、第5回印象派展 (1880年) に出品された作品。
子供の眠たげな表情と眠たげな姿勢のリアリティがハンパありません。
子育て経験の無い僕でさえ、そう感じたくらいですから、
おそらく世のママさんは、もっとシンパシーを感じるのでは?
さて、今回の展覧会には、《眠たい子どもを沐浴させる母親》 以外にも、
全ママ必見 “やさしい気持ち” になれる名画が多数出展されています。
《母の愛撫》 1896年頃
油彩、カンヴァス 38.1×54.0cm フィラデルフィア美術館蔵
Courtesy of the Philadelphia Museum of Art, Bequest of Aaron E. Carpenter, 1970
《果実をとろうとする子ども》 1893年
油彩、カンヴァ 100.3×65.4cm ヴァージニア美術館蔵
Virginia Museum of Fine Arts, Richmond, Gift of Ivor and Anne Massey, 75.18 Photo: Travis Fullerton © Virginia Museum of Fine Arts
さすが、『母子像の画家』 と呼ばれるだけはあります。
「メアリー・カサットは、きっと優しいお母さんだったんだろうなぁ」
と、ほっこりした気分で、会場を後にしようとした時、
「ん?そう言えば・・・」
大事なことに気が付いてしまいました。
メアリー・カサットが出産した、というか結婚したというトピックが一切なかったのです。
というわけで、会場の入り口に逆戻り。
そこから出口まで確認してみましたが、やはり両方の事実はありませんでした。
むしろ、逆に、ここまで母性溢れる絵を生み出せたのは、とてもスゴイことなのではなかろうか。
メアリー・カサット、大した女性です。
ちなみに。
画家としても評価の高いカサットですが、実は、版画家としても評価を受けています。
その中でも特に名高い10点組の多色刷り銅版画が、
今回の展覧会では、コンプリート状態で紹介されていました。
《沐浴する女性》 1890-91年
ドライポイント、ソフトグランド・エッチング 36.7×26.8cm ブリンマー・カレッジ蔵 Courtesy of Bryn Mawr College
こちらも要チェックです。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
↧
メアリー・カサット展
↧