まもなく世界遺産に登録される・・・はず、
そして、注目が集まる・・・はずの国立西洋美術館にて、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
“聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画” が始まりました。
こちらは、15世紀後半から16世紀初頭にかけて活動したドイツの銅版画家、
イスラエル・ファン・メッケネム (1445~1503) を本格的に紹介する日本初の展覧会です。
正直なところ、
「メッケネム・・・誰??」
という感じだったのですが。
なんでも、当時人気だったショーンガウアーや、
デューラーら他の作家の作品を大量にコピーした人物として知られているとのこと。
(左:マルティン・ショーンガウアー 《中庭の聖母子》 エングレーヴィング
右:イスラエル・ファン・メッケネム マルティン・ショーンガウアーに基づく 《中庭の聖母子》 エングレーヴィング
ともにミュンヘン州立版画素描館蔵 Staatliche Graphische Sammlung München)
・・・・・・・・・・。
「(デューラーは知っていましたが)いや、そのショーンガウアーっての誰なの??」
という感じでした (笑)
ショーンガウアー>メッケナム。
しかも、知名度が薄いだけでなく、年表で紹介されていたエピソードも薄い!
近年、稀に見るマニアックな版画家の展覧会です。
ただ、ドイツ初期銅版画は未知のジャンルだっただけに、新鮮さはひとしお。
見るものすべてが新鮮でした。
さてさて、正直なところ、
ショーンガウアーらの作品をコピーしたメッケネム作品に関しては、何の感慨もありませんでしたが。
メッケナムのオリジナル作品は、ツッコミどころが多く、想像以上に楽しめました。
例えば、こちらの 《ズボンをめぐる闘い》 という作品。
イスラエル・ファン・メッケネム 《ズボンをめぐる闘い》 連作〈日常生活の諸場面〉より
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館 Staatliche Graphische Sammlung München
髪を振り乱した妻が、夫の足を踏みつけ、手首を掴み、
今にも糸巻き棒で殴り掛かんとする場面が描かれています。
完全なるDV妻です。
目がイッちゃってます。
右上に描かれているのは、そんな妻のスタンド (ジョジョの奇妙な冒険) なのか。
ズボンをめぐる闘い。
何がどうなったら、ズボンが原因となって夫婦喧嘩に発展するのでしょうか。
ちなみに、こんな作品を残すくらいなので、
メッケネム自身も夫婦仲があまり良くなかったのかと思いきや・・・
イスラエル・ファン・メッケネム 《メッケネムと妻イダの肖像》
エングレーヴィング 大英博物館 ©The Trustees of the British Museum
当時として、とても珍しかった夫婦のダブルポートレートで、自分たちを描いていたようです。
夫婦仲は、良かったのでしょうね。
お互い目を合わせていないのは、気になるところではありますが。
また、《モリスカダンス》 という作品も、思わずツッコみたくなる作品。
イスラエル・ファン・メッケネム 《モリスカダンス》
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館 Staatliche Graphische Sammlung München
モリスカダンスとは、ムーア人たちの剣舞に由来するダンス。
画面中央の女性の指輪 (=愛情の象徴) をゲットすべく、
男たちが、激しい音楽に合わせ、思い思いのダンスを披露しています。
そんなダンスバトルの勝敗やいかに?!
ぶっちゃけ、どのダンスも、イケてないと思うのですが、僕の気のせいでしょうか。
個人的に最もお気に入りなのは、《狩人をあぶる野うさぎたちのオーナメント》 です。
イスラエル・ファン・メッケネム 《狩人をあぶる野うさぎたちのオーナメント》
エングレーヴィング 大英博物館 ©The Trustees of the British Museum
狩人とうさぎの立場が逆転しているという “怖カワイイ” 作品。
茹でられてる狩猟犬が、何とも哀れ。
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