Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

江戸の博物学~もっと知りたい!自然の不思議~

$
0
0
現在、静嘉堂文庫美術館で開催されているのは、
“江戸の博物学~もっと知りたい!自然の不思議~” という展覧会。

江戸


「江戸の博物学」 に焦点を当てたユニークな展覧会で、
江戸時代の日本人による初めての本格的な本草書 《大和本草》 や、

大和  『大和本草』 貝原益軒撰
江戸・宝永6年(1709)刊 静嘉堂文庫蔵 【全期間展示】



日本初の本格的彩色植物図譜である 《本草図譜》 をはじめとする、

初の本格的彩色植物図譜  『本草図譜』(牡丹) 岩崎灌園撰
江戸・天保15年(弘化元年・1844)頃 静嘉堂文庫蔵 【全期間展示】



博物学に関する江戸時代の貴重な書籍の数々が展示されています。
琳派や茶道具、仏像など、美術系の展覧会が続いていたので、すっかり失念しておりましたが。
静嘉堂文庫美術館は、もともとは静嘉堂 “文庫” 、
すなわち “図書館” であったことを、改めて実感する展覧会でした。
星
(とは言っても、狩野探幽の 《波濤水禽図屏風》 や渡辺崋山の 《遊魚図》 といった絵画作品も出展されていましたが)


展覧会のハイライトは何といっても、《日本創製銅版新鐫 天球全図》 です。
太陽や月、地球などの天体から、

日本創製銅版新鐫 天球全図  『日本創製銅版新鐫 天球全図』 のうち「天球図」 司馬江漢撰
江戸・寛政8年(1796)頃刊 静嘉堂文庫蔵 【前期展示:6/25-7/18】



雪の結晶、蟻、ボウフラなどの虫までが紹介された、まさに 「The博物学」 な書籍。

アリ  『日本創製銅版新鐫 天球全図』 のうち「顕微鏡観物写真図」 司馬江漢撰
江戸・寛政8年(1796)頃刊 静嘉堂文庫蔵 【全期間展示】



一部木版もありますが、基本的には全て銅版画。
そこに、彩色が施されています。
描いたのは、司馬江漢。
江戸時代後期を代表する、洋風画家です。

200年以上も前の書籍とは思えないくらいに、正確な描写。
今現代でも十分に通用しそうなレベルです。
ただし、太陽だけは・・・。

太陽  『日本創製銅版新鐫 天球全図』 のうち「太陽真形」 司馬江漢撰
江戸・寛政8年(1796)頃刊 静嘉堂文庫蔵 【全期間展示】



使い倒したランチョンマットみたいな感じになっていました (笑)


個人的にもっとも印象に残ったのは、《鱗鏡》
こちらは、高松藩の家老であった木村黙老によって書かれた魚図鑑で、全263種の魚が紹介されています。

うろこ  『鱗鏡』 木村黙老撰
江戸・嘉永6年(1853)写 静嘉堂文庫蔵 【後期展示:7/20-8/7】



ダツ  『鱗鏡』 木村黙老撰
江戸・嘉永6年(1853)写 静嘉堂文庫蔵 【全期間展示】



さかなクンならずとも (?) 、「ギョギョッ!」 と声をあげたくなるビビッドさ。
こんなにも色が美しい状態で、保存されていただなんて!
・・・と思ったら、なんと今回が初公開とのこと。
ありがとうギョざいます。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles