本日ご紹介するのは、東京都庭園美術館の “クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス―さざめく亡霊たち” 。
フランスを代表する現代美術家クリスチャン・ボルタンスキーの個展です。
越後妻有トリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭をはじめ、数々の現代アート展で、
彼の作品は多く紹介されているので、日本でもう何度も個展が開催されていると思っていたのですが。
実は、意外にも国内で個展が開催されるのは、26年ぶりとのこと。
さらに、東京での個展は初とのことです。
今回の新作展を開催するにあたり、東京都庭園美術館を訪れたボルタンスキー。
朝香宮邸として昭和8年に竣工された建物に入るなり、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
舞踏会をしている亡霊たちの姿を感じたのだそうです。
えっ?東京都庭園美術館って事故物件だったの?
その真偽はともかくも、そこから展覧会のテーマを、『亡霊』 に決めたのだとか。
(ちなみに、展覧会タイトルの 『アニミタス』 は 「霊魂」 や 「生命」 の意)
さて、実は今回、ボルタンスキー展と併せて、
“アール・デコの花弁 旧朝香宮邸の室内空間” が同時開催されています。
そのため、アール・デコの家具が展示されていたり、
カーテンを開けて外部の光を取り込んだりと、いつになく館内は開放的な印象です。
そんな本館の1階スペース全体を使って展開されているのが、
ボルタンスキーの新作インスタレーション作品 《さざめく亡霊たち》 。
1階のあちらこちらから、ささやくような声がするという作品です。
どこからともなく声がするので、基本的にビビりの僕は、ビクッとしっぱなし。
このせいで、せっかくのアール・デコの展覧会のほうには、全然集中できませんでした (笑)
リアル・ホーンテッドマンション状態です。
(“天井が急に高くなったらどうしよう?” と焦りました)
ちなみに、本館の2階では、書庫だった部屋を使って、
瀬戸内海の豊島で恒久展示されている 《心臓音のアーカイブ》 と連動した作品と、
かつての子供部屋を使って、初期の作品 《影の劇場》 が展開されていました。
どちらの作品も、基本的に1人ずつしか鑑賞できません。
展示の内容が展示の内容だけに、あまり多くの人に来て欲しくないと、
オープニングの記者会見で、美術館泣かせの発言をしていたボルタンスキー。
確かに、この作品だと、多くの人が来場すると大変なことになるだろうなァ。。。
本館を鑑賞したあとは、新館へ。
こちらのギャラリー2では、今年豊島に完成したばかりの 《ささやきの森》 と、
チリのアタカマ砂漠にある 《アニミタス》 、2つのインスタレーション作品の映像が上映されています。
それもただ上映するのではなく、この上映スペースそのものがインスタレーション作品となっており、
床一面に、藁みたいなものがビッシリと敷き詰められていました。
なので、草の匂いが充満してるし、歩くとフカフカするし。
映像とそこから流れる音。
視覚と聴覚だけでなく、嗅覚と触覚も刺激されるインスタレーション作品でした。
そして、新館のギャラリー1の全体には、
誰かの目元が拡大されプリントされたヴェールの作品 《眼差し》 が数多く揺らめいていました。
ハンドアウトによると、この空間の中央に新作の 《帰郷》 という作品があるそうです。
黄金のエマージェンシー・ブランケットが大量の古着を覆っている作品とのこと。
ボルタンスキーお得意の 「生と死」 や 「不在」 を感じさせる作品である気がプンプンしています。
「一体どんなビジュアルなのでしょう?」
と、《眼差し》 をかき分けていくと、そこに現れたのは・・・
「!!!」
生と死とか、不在とか、を感じるも何も。。。
金色のでっかいアレにしか見えませんでした。。。
(お食事中の方、申し訳ありません)
別の意味で、プンプンしています。
そんな風にしか感じられない自分って何なのだろう。
頭の中がきっと小学生のままなんだろう。
ボルタンスキーの狙いとは全く別のところで、いろいろ考えさせられました。
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クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス―さざめく亡霊たち
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