世田谷美術館で開催中の “志村ふくみ――母衣(ぼろ)への回帰” に行ってきました。
こちらは、紬織の人間国宝である染織作家・志村ふくみさんの東京では初となる大々的な回顧展です。
現在、御年91歳ながら、いまだ現役バリバリ。(今月30日に92歳の誕生日を迎えます!)
今回の展覧会でも、《母衣曼荼図》 を含む新作2点が出展されています。
《母衣曼荼羅》 2016年 個人蔵
志村さんの作品の魅力は何と言っても、
草木からの自然染料で染められた糸によって織り上げられていること。
《鈴虫》 1959年 滋賀県立近代美術館 (注:展示は9月10日~10月10日)
《明石の姫》 2003年 滋賀県立近代美術館 (注:展示は10月12日~11月6日)
そのため、着物を全体的に見るのではなく、
どうしたってクローズアップして糸の色に注目してしまいます。
どうしたって自然が生み出した色の絶妙な美しさに、つい引き込まれてしまいます。
さらに言えば、どうしたって 『糸』 が脳内を流れます (笑)
さてさて、そんな糸の美しさをダイレクトに味わえるのが、
2014年に資生堂ギャラリーで開催された “せいのもとで” で発表された 《經》。
それをさらに発展させたインスタレーション 《光の經》 です。
《光の經》 2014年 個人蔵
上の写真よりも、実際の作品はもっと色が繊細に浮かび上がっている印象。
色の幽霊 (←?) とでも言いましょうか。
ぬぼーっと色が、儚げに宙に浮かんでいる印象でした。
息を吹きかけたら、色が消えてしまうかのような。
実に繊細な作品です。
ちなみに、展覧会には、志村さんの作品だけでなく、
志村さんに染織を教えた実の母・小野豊の作品や、
小野豊 《吉隠》 1960年頃 撮影:安河内聡 個人蔵 (注:展示は9月10日~10月10日)
志村さんの活動を後押しし支えた木漆工芸家・黒田辰秋の作品なども出展されています。
黒田辰秋 《螺鈿瓜形棗》 京都国立近代美術館蔵
志村さんの後ろ、つまりバックグラウンドもわかる展覧会でした。
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志村ふくみ――母衣(ぼろ)への回帰
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