今回は、6年前に紹介した 『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』 の続編を。
■みんなのアムステルダム国立美術館へ
監督:ウケ・ホーヘンダイク
出演:アムステルダム国立博物館の館長、学芸員、警備員、建築家 (クルス&オルティス)
2014年/オランダ/94分
レンブラントの 《夜警》 など数々の名品を所蔵するオランダのアムステルダム国立美術館、
その改修事業を追ったドキュメンタリー 『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』 の続編。2008年の再オープンを予定して04年にスタートした同美術館の改修工事は、
地元住民の反対などさまざまな問題によって何度も中断に追いこまれてしまう。
その様子をとらえた前作に続き、10年にもおよぶ紆余曲折を経て、
13年4月についにグランドオープンにこぎつけるまでの顛末を追った。
前作に引き続きウケ・ホーヘンダイク監督が、
学芸員や建築家ら美術館に携わる個性的な人々が再オープンを目指して奮闘する姿や、
展示品の選定、修復作業、作品購入といった美術館ビジネスの裏側を余すところなくカメラに収めた。
(「映画.com」より)
「前作を見たのは、もう6年も前。
アムステルダム国立美術館の改修工事が、とにかくトラブル続きのため、
2008年の再オープン予定が延びに延びて、結局、2010年当時も工事が終わっていないという、
そんな悲劇のようでもあり、喜劇のようでもある映画だったことを記憶しています。
具体的にどんなトラブルがあったのかは、すっかり忘れてしまっていたのですが。
映画の冒頭で、ちゃんとそのあたりのいきさつが、振り返られています。
そうそう、自転車用の通路をどうするかで、市民団体と揉めていたのでした!
前作の面白さは、登場人物のキャラの濃さによるところが大きかったですが。
今作も、そこは健在。
美術館愛が猟奇的な (?) 管理人レオは、今回もサイコっぷりをいかんなく発揮。
日本美術LOVEなアジア館部長メンノも相変わらずで、
今回は念願だった金剛力士像をゲットし、さらに幸せモード全開でした。
そして、前作でのMVP・17世紀美術担当のインテリ系イケメン学芸員タコは、
今作でも、ナルシストキャラぶりを、監督の悪意たっぷりに料理されていました。
実は、前作の主役の一人であったレーウ館長が、嫌気がさして辞任。
その後任になれると信じて疑わないタコ。
しかし、館長に就任したのは、別の人物でした。
その時のタコの表情が、ドキュメンタリーとは思えないほど秀逸。
顔芸。
たぶんコメディの世界でも十分生きていける気がします。
新キャラも登場して、今作もトラブル続きで、
「あーあーあー(苦笑)」 という感じだったのですが。
最後には、アムステルダム国立美術館が無事に再オープン。
すると、それぞれ、あれだけ文句ばかり言っていた登場人物たちが、
なんだかんだあったけど、結局は新しくなったアムステルダム国立美術館に感動していました。
物事って、意外とそういうものなのかも。
なので、今日本でも、新国立競技場とか豊洲新市場の建設に関して、もろもろ問題があるわけですが。
意外と完成したら、
「まぁ、なんだかんだで良いものが出来たぞ♪」
なんて言っているのかもしれませんね。
ちなみに、アムステルダム国立美術館は、《牛乳を注ぐ女》 をはじめ、
《手紙を読む青衣の女》、《小路》、《恋文》 と計4点のフェルメール作品を所蔵しているのですが。
1点も映画には登場しません。
フェルメールは本国オランダでは、そこまで人気がないとは聞いていましたが、本当だったようです。
何はともあれ、10年の歳月をかけて生まれ変わったアムステルダム国立美術館。
一度は訪れてみたいものである。
(星4つ)
~映画に登場する名画~
《金剛力士像》
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Film:36 『みんなのアムステルダム国立美術館へ』
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