入場者数44万6千人を記録した東京都美術館の “生誕300年記念 若冲展” に、
そして、現在、箱根の岡田美術館で絶賛開催中の “若冲と蕪村 江戸時代の画家たち” に。
今年2016年は、伊藤若冲イヤーとばかりに、若冲展が大盛り上がりを見せています。
・・・・・・・関東圏では。
そこに 「ちょっと待った!」 をかけるように (?)、
若冲が生まれ過ごした街・京都でも、若冲展が始まりました。
その名も、“生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲” です。
ということで、若冲好きとしては抑えておきたいところ。
京都市美術館に行ってまいりました!
ちなみに、京都市美術館は日本で2番目に古い公立美術館。
つい先日、ネーミングライツ (命名権) を、総額50億円で京セラに売却したばかり。
2019年から50年間は京都市京セラ美術館という名称になるのだそうです。
なんだかなぁ (苦笑)
さてさて、今回の若冲展の企画監修を担当したのは、
若冲ブームの火種となった京都国立博物館での若冲展を企画監修した美術史家・狩野博幸氏。
今回の展覧会に寄せて、こんな言葉を発表しています。
「あのころの京都でなかったら、若冲という画家は生れなかった。
京都と若冲は、いわば一心同体、双面神だったといえる。
(中略)
若冲は、要するに京都そのものだ。」
京都ならではの若冲展。
これは期待できそうです!!
・・・・・・・・・が。
結論から先に言ってしまえば、そうでもなかったです (笑)
基本的には、作品がただただ並べられているだけのシンプルな展覧会。
パネルもほとんどなく、あったとしても、
「京都の青物問屋の息子だったから、お金を惜しまず絵を描けた。」 とか、
「江戸と違って京都は政治性が薄い。よって、若冲は自由に絵を描けた。」 とか、
わりと若冲のポピュラーな情報が紹介されているだけで、あまり役に立ちませんでした。
読み応えがあったのは、会場内に貼られていた今回の若冲展を紹介した新聞記事くらいです (笑)
京都人はよそものに冷たい、とは聞きますが。
まぁ、サービス精神の少ない若冲展でした。
若冲の作品は約100点、個人蔵のものも多かったので、1ツ星にはしませんが。
とは言え、今回の若冲展の中で唯一面白いと感じたのは、
鯉を描いた絵ばかりが、ズラーッと並んでいたところ。その数、10点!
カープイヤーだから?
実は、当時の京都では子供が生まれると、
出世を願って、鯉の絵を描いてもらうことが多かったのだとか。
それゆえ、若冲も鯉の絵を数多く描き、全く同じ図柄の絵も多く残っているのだそうです。
若冲の鯉の絵をこれほどの数、まとめて観る機会は、あとにも先にも今回だけ。
ある意味、貴重な体験でした。
他にも印象的だった作品をいくつか。
まずは展覧会の図録の表紙にも抜擢されていた 《布袋図》。
「あっかんべー」 をする姿がキュートです。
おっさんだけど (笑)
続いては、《鵜に鰌図》。
鵜がドジョウを今まさに食べんとする、
食うか食われるかディスカバーチャンネルなみのシーンが描かれているわけですが。
ドジョウをよーく見てみると (※単眼鏡必須!) 、ニッコリしていました。
あえて食べられてあげているのでしょうか?!
菩薩のようなドジョウです。
個人的にイチオシなのは、《烏賊図》。
イカのゆったり泳ぐ姿や透き通った感じを、
これほどまでに表現できる絵師が他にいるでしょう!
思わず水族館の水槽を眺めているような気分になりました。
(・・・あ、少し嘘つきました。いけすを眺めているような気分でした)
全体的には、水墨作品が多かったですが (8割くらい?)
若冲の真骨頂・極彩色の作品もなかったわけではありません。
ちなみに、11月22日から12月4日には、《樹花鳥獣図屏風》 も出展されるようですよ。
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生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲
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