サントリー美術館で開催中の “世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
こちらは、秋田藩士が中心に描いた阿蘭陀風の絵画、
略して (?)、『秋田蘭画』 にスポットを当てた展覧会です。
さて、今回の展覧会のキーマンとなるのが、小田野直武。
「えっ、誰??」
と思われた方も多いでしょうが。
教科書でおなじみのあの絵・・・・・
解体新書(部分) 杉田玄白ら訳、小田野直武画 一冊(序図) 安永3年(1774) 国立大学法人東京医科歯科大学図書館
【全期間展示】
そう、『解体新書』 の挿絵を描いた人物です。
いろいろと謎の多い人物で、30歳の若さで謎の死を遂げています。
ちなみに、今回の展覧会タイトルの “世界に挑んだ7年” とは、
小田野が故郷の秋田から江戸へとやってきた安永2年 (1773) から享年までを指しているのだとか。
そんな知名度にはやや難ありな小田野直武ですが、
そのミステリアスな人生が小説家の制作意欲を刺激するのでしょうか。
実は、小説化したい画家ランキング (?) では、かなりの健闘している人物なのです。
以前、こちらのブログでも紹介しましたが、
彼を主人公にした小説は、確認できているだけでも3冊もあります。
(Book:9 『小田野直武―解体新書を描いた男』 他2作)
ミステリアスな小田野直武。
その作品は本人以上に (?) 、ミステリアスです。
例えば、《蓮図》。
小田野直武 陸雨亭賛 《蓮図》 一幅 江戸時代 18世紀 神戸市立博物館
(注:展示期間は11/16~12/12です)
画面手前には、リアルすぎて、どこか圧迫感すらある蓮。
画面奥には、うっすらと描かれ、どこか幻のような光景。
この2つの要素が違和感があるようでないようで、やっぱりあるように同居しています。
また、例えば、重要文化財に指定されている 《不忍池図》。
重要文化財 小田野直武 《不忍池図》 一面 江戸時代 18世紀 秋田県立近代美術館
(注:展示期間は11/16~12/12です)
画面の奥には、東京近郊の人間には見慣れた不忍池の光景。
こちらも、うっすらと描かれています。
くっきり描かれているのは、画面手前の鉢。それも2つ。
一体誰が置いたのでしょうか?
謎です。
きっと小田野直武本人は、いたって真面目にオランダ風の絵を目指したのでしょうが。
生真面目にオランダ絵画を再現しようとしたがために、独特の世界観が誕生してしまっています。
江戸絵画というよりも、どこかシュルレアリスム絵画のような。
これこそが、小田野直武ワールドです。
そんな小田野直武から絵を学んだ久保田藩 (秋田県) 藩主・佐竹曙山。
彼の作品にも、そのエッセンスはしっかりと継承されていました。
重要文化財 佐竹曙山 《松に唐鳥図》 一幅 江戸時代 18世紀 個人蔵
(注:展示期間は11/16~12/12です)
「殿、ご乱心でござる?」 と、多少心配になってしまうくらいにエキセントリックな作品です。
樹木の表皮がエキセントリック。
枝の折れ方がエキセントリック
インコが止まっている枝の枝振りがエキセントリック。
この他にも、小田野直武ワールド全開、秋田蘭画ワールド全開な作品が会場にはずらり勢ぞろい。
実に濃密濃厚でミステリアスな空間となっていました。
(もしかしたら、近くの国立新美術館で開催中のダリ展に匹敵するのでは??)
ハマる人には、とことんハマる。
クセになる展覧会です。
┃会期:2016年11月16日(水)~2017年1月9日(月・祝)
┃会場:サントリー美術館
┃http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_5/index.html
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