今、本国フランスで、人気がジワジワと高まっている画家アンリ・ル・シダネル(1862-1939) 。
そのブームが、遅ればせながら、いよいよ日本にも上陸しました!
日本では初となるアンリ・ル・シダネルの大体的な個展、
“アンリ・ル・シダネル展” が、今、日本全国を巡回。
軽井沢⇒埼玉⇒京都と巡回してきて、
現在は、損保ジャパン東郷青児美術館で開催中です。
7月1日まで。
さて、日本では、まだブームが来てないだけに。
「アンリ・ル・シダネル?誰??」
という人が、多数でしょう。
(僕も、その一人ですw)
アンリ・ル・シダネルを知らずとも。
とりあえず、行けば何とかなるかと、下知識が全く無い状態で、美術展の会場へ。
《テーブルと家(ジェルブロワ)》
《室内》
《運河》
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
アートテラー的には、一番コメントに困るテイストの絵でした (笑)
イイ絵であることは間違いないのですが、
それを越える感動が押し寄せて来ないと言いますか。。。
さらに、個性的でもないので、特に感想が浮かばない。。。
「このままでは、何もブログの記事に書くことがない (焦) !!」
行けば何とかなる。
なんてことは、全く無かったです。
とは言え、このまま、アンリ・ル・シダネル作品の魅力に触れることなく帰るのもなんなので。
ダメ元で、もう一度だけ、美術展の会場を最初から周ってみることにしました。
すると・・・
「あっ♪」
ようやくアンリ・ル・シダネル作品の魅力に、気が付くことが出来ました。
一回目よりも、二回目。
二回目よりも、三回目。
アンリ・ル・シダネルの作品は、
観れば観るほど、その味わいが増していくのです。
例えるならば、噛めば噛むほど旨みが増す “ご飯” のような作品と言えましょう。
また、会場のキャプションで、何度も言及されていたのが、
アンリ・ル・シダネルは、アンティミストの画家であったということ。
アンティミストとは、日本語にすると、親密派。
日常的な題材、とくに室内の情景を、親しみや愛情を込めて描く画風の作家のことです。
そう言われてみれば、どの絵からも、人の温もりが感じられる気がします。
テーブルの上には、誰かがいた痕跡が。
建物の窓から漏れた灯りには、誰かがいる気配が。
一人で、この美術展を観に行ったのに、
アンリ・ル・シダネルの絵の前に立つと、不思議と孤独感が無くなりました。
観ている人の心を、ほっこりと温めてくれる。
そんな優しい絵。
例えるならば、一口食べれば、心が安らぐ、ほっかほかな “ご飯” のような作品と言えましょう。
(↑また、ご飯?!)
ともあれ、ジワジワとその魅力に気づかされるアンリ・ル・シダネル作品。
最終的には、どの絵も味わい深くて、どの絵も欲しくなってしまいましたが。
僕の一番のお気に入りは、こちらの 《離れ家》 という一枚。
温かさを感じる上に、懐かしさのようなものも感じる作品です。
それだけに、絵の前に立った瞬間、思わず、
「ただいま♪」
と言いそうになってしまいました。
(↑実家は、団地のくせしてw)
面白い作品に出会える美術展や、刺激的な美術展も、いいですが。
たまには、このような癒される美術展も、いいものですね。
ちなみに。
アンリ・ル・シダネルは、薔薇が好きだったそうで、
《薔薇の花に覆われた家》 をはじめ、薔薇の描かれた風景画を数多く残しています。
そんな彼が、1901年に移り住んだのが、パリ北方の小さな村ジェルブロワ。
シダネルが移り住んだ当時、ジェルブロワは、過去の宗教戦争の影響で荒れていたのだとか。
そんな村を活気づけるべく、シダネルは、自宅の庭を薔薇園にし、
さらには、村全体を薔薇で埋め尽くすことを村の人々に提案したのだとか。
シダネルの提案に賛同した村人たちによって、ジェルブロワは、薔薇が咲き乱れる村に。
そして、そのおかげで、
現在、ジェルブロワは、 “フランスでもっとも美しい村” の1つに選ばれているのだそうです。
アンリ・ル・シダネルは、実生活でも、温かい人だったのですね。
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アンリ・ル・シダネル展
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