次世代の日本画界を担うスターは、君だ!
…と、新進気鋭の日本画家を表彰する制度として、日本経済新聞社が2002年に創設した賞。
それが、 『東山魁夷記念 日経日本画大賞』 。
2年に1度、開催されているそうで、
2012年の今年は、第5回とのことです。
10年の歴史があるにも関わらず、
アートテラーながら、全く、この賞の存在を知りませんでした。。。 (反省ですね)
ちなみに、この “東山魁夷記念 日経日本画大賞展” は、
第4回までは、ニューオータニ美術館で、開催されていたそうですが。
第5回からは、入賞作品が、これまでの倍以上の30点になったこともあって、
より会場が広い、上野の森美術館へと変更になりました。
さらに、作品数は、倍に増えたのに、
入場料は、これまでの700円から500円へと変更になりました。
リーズナブル!!
今回のマイナーチェンジによって、第6回以降にも期待が高まります。
そういう意味で、1つ星。
さてさて、 “東山魁夷記念” と銘打たれはいますが、
あくまで、次代の美術界を担う新進気鋭の日本画家を表彰する賞。
東山魁夷のような、癒し系の風景画を描く日本画家が表彰されるというわけではありません。
第5回の大賞受賞者は、
もはや若手というよりは、中堅に位置する鴻池朋子さん。
(3年前に大々的な個展が開かれています)
そして、もう一人。
《流・転・生 I》 を描いた濱田樹里さん。
お二方とも、おめでとうございます。
また、惜しくも大賞は逃したものの入選した作家の中には、
町田久美さんや、三瀬夏之介さん、山本太郎さん (芸能人を辞めた人とは同姓同名なだけ) など、
若手~中堅の現代作家展でお馴染みの面々が名を連ねていました。
率直な感想を言えば、誰が大賞でもおかしくない状態でした。
それだけに、展覧会全体としては、
一つの現代美術展として、安定して見応えのある内容でした。
アートテラー的に気に入った作品を、いくつかご紹介。
勝手に、アートテラー・とに~特別賞を授与したいと思います (本人は、嬉しくないでしょうがw)
まずは、牛嶋直子さんの 《lighthouse》
(作品画像は、こちらから)
“あ、ふ~ん。こういう写真作品か・・・・・・・・・・・って、これ、日本画展やん!”
と、思わず、自分にノリツッコミ。
“てことは、これ、日本画なの?!”
と、思わず、二度見。
日本画の進化は、今、ここまで来ているのですか。
写実的な日本画と言えば、吉田翔さんの 《白い湖》 も。
(作品画像は、こちら)
全2幅からなる掛軸作品。
どちらにも、同じように花の絵が描かれています。
こちらも、日本画展と知った上で観たため、なんとか絵と認識出来たのであって。
もし、その前提がなかったら、おそらく、モノクロ写真と思ってしまったことでしょう。
モノクロ写真風の花が描かれた日本画を、掛け軸に仕立てる。
一つの作品に、いろいろな要素があって、要素が渋滞している感が否めません (笑)
ともあれ、新しい日本画の世界を、見せつけられた気がします。
新しい日本画と言えば、この作品も。
神戸智行さんの 《ハナカスミ》 です。
(作品画像は、こちら)
このような水面と桜吹雪を連想させるパネル全32枚を、
壁一面だけでなく、床にも配置しちゃって、桜吹雪も実際に撒いちゃって。
日本画というよりは、もはやインスタレーション作品のようでした。
鮮やかな水色に、一瞬にして包まれる。
そんなステキな体験が出来る作品。
最後は、絵そのものもタイトルも、
いろいろ衝撃的な田中武さんの 《裏側(十六恥漢図シリーズ)》
(作品画像は、こちら)
芸能人がブログで、すっぴんを晒すのが、密かにブームになっていましたが。
そんなすっぴんブームが、日本画の世界にまで?!
描かれている内容は、真面目には思えませんが、
女性や服の質感、鳥に植物など、絵の描写は、真面目そのもの。
そのギャップが、面白い。
この他にも、気になった日本画は、まだまだありましたが。
(中には、「えっ、これも日本画?!」 という作品もありましたが)
紹介は、このくらいに。
皆様も、上野の森美術館の会場で、
お気に入りの新世代スター日本画家を探してみては?
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第5回 東山魁夷記念 日経日本画大賞展
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