Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

リニューアル記念 特別名品展 + 杉本博司「海景 – ATAMI」

$
0
0

約11ヵ月間の改修工事を終えて、MOA美術館がついにリニューアルオープン!
とうことで、早速、行ってまいりました。

moa


外観は、ほとんど・・・というか全然変わっていませんでした。

入り口


「まぁ、さすがに約11ヵ月間だと、
 空調とか設備とか、その辺りを改修するくらいしか出来ないか (苦笑)」

・・・なんてことを思いながら、“リニューアル記念 特別名品展” が開催されている展示室へ。

会場


足を一歩踏み入れた次の瞬間、想像だにしなかった展示空間が目に飛び込んできました。

「あれっ?えっ??ここ本当にMOA美術館?!」

リニューアル前の面影が一切感じられないほどに大々的なリニューアル。
まさに、『大改造!!劇的ビフォーアフター』 状態でした。

和と伝統を感じられながらも、スタイリッシュさも併せ持つ。
そんな素敵すぎる展示空間に生まれ変わらせた匠の正体は、
建築家・榊田倫之さんと、そして、世界的に活躍する現代美術作家・杉本博司さん。




それでは、2人の匠のリフォームの全貌をご覧いただきましょう。

まぁ


展示スペースには、あえて畳を使用。
MOA美術館が所蔵する日本美術の名品の美を、最大限に引き立たせています。
ひとたび作品の前に立ってみると、さらなる驚きが。
まぁ、なんということでしょう。
鑑賞者の姿がまったくガラス面に映りません。
全部の展示ケースに採用されているのは、最新式の低反射高透過ガラス。
このガラスのおかげで鑑賞中に感じるあのストレスとも、さようなら。
じっくりと作品と向き合うことが出来ます。

そんな展示ケースと向かい合うように設置されたのが、

漆喰


黒漆喰の巨大な壁。
実は、この壁の向こうにも展示ケースが存在しています。

手じ


その間に大胆に巨大な壁を設置することで、
鑑賞者の注意はそれぞれの展示ケースにのみ向けられることになるのです。
アーティストであり、作品を展示される立場でもある匠ならではの演出と言えましょう。
また、同じ黒漆喰を使って作られたのが、

壁


MOA美術館の至宝の一つである 《色絵藤花文茶壺》 を常設展示するためのスペース。

色絵藤花文茶壺


まぁ、なんということでしょう。
これからは一年を通じて、《色絵藤花文茶壺》 に出会うことが出来るのですね。

また、国宝と言えば、現在のリニューアル記念展覧会では、
尾形光琳の代表作 《紅白梅図屏風》 も1年ぶりに展示されています。

紅白梅図屏風


ちなみに、今回のリニューアルを機に、館内は写真撮影がすべて可能に。
まぁ、なんということでしょう。
《紅白梅図屏風》 との記念撮影も可能になったのですね。


さらに、もう一つの国宝 《手鑑「翰墨城」》 も出展中。
つまりは、MOA美術館が所蔵する国宝3件揃い踏みです。

国宝


なお、こちらの展示ケース内に使われている立派な木材は、樹齢1000年以上の屋久杉とのこと。
まぁ、なんということでしょう!


実は、匠がリフォームを施したのは、
ミュージアムショップやカフェなど展示室内以外にも及んでいます。
(ここまで来ると、もはや業者の域に達している気がしますw)
美術館の入り口も、匠ならではのこだわりで大変身していました。

漆


赤と黒2色の漆塗り。
しかも、こちらは、なんと人間国宝の室瀬和美さんの手によるもの。
この扉自体が、美術作品と言っても過言ではありません。


さて、今回のリニューアルで特筆すべき点は、もう一つあります。
それは、現代アートの展覧会の開催も視野に入れて、ホワイトキューブの展示室が誕生したこと。
そのこけら落としとして開催されているのが、“杉本博司「海景 – ATAMI」”
杉本博司さんの代表作 《海景》 シリーズの中から、
熱海の海を撮影した 「海景-ATAMI」 を紹介する展覧会です。

杉本博司
杉本博司


この展覧会を観た後は、

杉本


もれなくMOA美術館の館内から一望できる海景までもが、杉本作品のように思えてきてしまうはず。
シンプルながらも心に残る 《海景》 シリーズのインパクト、恐るべしです。


MOA美術館が所蔵する名品の数々が観られて。
杉本博司さんの展覧会も観られて。
生まれ変わった素敵な展示空間も堪能して。
星星星
これほどまでに贅沢な体験はそうそう味わえるものではありません。
熱海まで足を運ぶ価値は大いにアリです。


ちなみに、今回、個人的に一番印象に残ったのは、
桃山時代に描かれたとされる 《洋人奏楽図屏風》 です。

洋人奏楽図屏風


全体的に独特。
人も湖も建物も。
でも、羊は特に独特。

洋人奏楽図屏風


なんか虫みたい。
なんかキモい。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles