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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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美術館で巡る 東海道五十三次の旅

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現在、岡田美術館では、“美術館で巡る 東海道五十三次の旅” が開催されています。

岡田


こちらは、岡田美術館開館以来初となる浮世絵を主軸とした展覧会で、
近年収蔵品に加わったばかりという広重の 《東海道五十三次》 シリーズ全点が一挙公開されています。
もちろんそれらの中には、岡田美術館が位置する東海道第10の宿場・箱根を描いた図も。

広重
歌川広重 《東海道五十三次 箱根》(湖水図) 天保4~5年(1833~34) 岡田美術館蔵


東京から東海道を通って、岡田美術館へ。
最後の最後で、ここまで険しい峠を越えたという実感はありませんが。
箱根の地で箱根を描いた浮世絵を鑑賞するのは、なかなかに貴重な体験。
同じ 《東海道五十三次》 でも、東京の美術館で見るよりも、感動は3割増しでした。


さてさて、今回の展覧会。
《東海道五十三次》 シリーズ全55点がただ並べられているのではなく。
それぞれの宿場の名所にまつわる日本美術の名品も併せて紹介されているのが、岡田美術館流。

例えば、《東海道五十三次 箱根》 と併せて紹介されているのは、前田青邨の 《真鶴之浜》

前田
前田青邨 《真鶴之浜》(部分) 昭和44年 岡田美術館蔵


こちらは、箱根山中に隠れた源頼朝の様子を、ドローンのような視点で描いた作品です。
宿場と温泉以外でも、箱根の地を描いた絵はあるのですね。


また例えば、尾形光琳の作品でもおなじみのモチーフを、
江戸琳派の絵師で酒井抱一の弟子であった池田孤邨が描いたこちらの作品は、

八橋
池田孤邨 《燕子花・八橋図屏風》(左隻・部分) 江戸時代 19世紀 岡田美術館蔵


池鯉鮒宿を描いた浮世絵と併せて紹介されていました。
燕子花なんて、どこでも目にできそうなものなので、
特に特定の地があるとは考えたこともなかったのですが。
『伊勢物語』 で在原業平があのカキツバタの歌を詠んだのが、
池鯉鮒宿 (現在の愛知県知立市) 近くの八橋の地だったのだそうです。
美術品同士の地理関係がわかると、面白いですね。


それから、小田原宿と関連して紹介されていたのは、岡本秋暉の 《孔雀図》

⑥岡
岡本秋暉 《孔雀図》(部分) 安政3年(1856) 岡田美術館蔵


小田原が、特別に孔雀の産地だった、というわけではなく。
作者の岡本秋暉は、江戸時代後期の小田原藩士であったとのこと。
とは言え、絵師の仕事のほうが本業だったようで、
侍として仕事をする日数は、月に数えるだけで良かったのだそうです。
アスリートの働き方に通ずるものがあります。

ちなみに、こちらの 《孔雀図》 は、かつてやんごとなき家に飾られていた由緒正しき逸品だそうな。
それだけに、今なお華やかなオーラを放っていました。
ちょうど現在、岡田美術館では別の展示室にて、
昨年83年ぶりの再発見が話題を呼んだ伊藤若冲 《孔雀鳳凰図》 が再公開されています。
孔雀図をWで楽しめるチャンスです。


日本橋から京都まで。
《東海道五十三次》 を辿りつつ、時に宿場町にちなんだ名所にわき道をそれつつ。
まさに東海道を歩いて旅している気分になれる展覧会でした。
星星
江戸時代では、東海道を踏破するのに13日から15日もかかったそうですが。
会場では、1~2時間もあれば京都に十分たどり着けますよ。




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