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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ぬぐ絵画―日本のヌード 1880-1945

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先日、

「次は、どこの美術展に行こうかしらん?」

と、ネットで、いろいろな美術展の公式HPを閲覧していた時、
とある美術展の公式HPを目にして、衝撃が走りました!!!!!

「なんじゃこりゃ~!!!!!!」


その公式HPとは、
東京国立近代美術館で開催中の “ぬぐ絵画―日本のヌード 1880-1945” の公式HP。


ゆるい!ゆるすぎるぜっ!!
アートテラーの僕が嫉妬するほどに、ゆるい (笑)

国立の美術館が、よくもここまで、ゆるい公式HPを作成するとは。。。
そのチャレンジ精神に、拍手。
しかも、公式HPをよく読めば、美術展そのものも、チャレンジ精神たっぷり。
展示されているのは、すべて 「はだか」 の絵。
今まで美術界で、なんとなく見て見ぬふりをしてきた (?) 「ヌード画=ただのエロ」 に真っ向から向き合った美術展のようです。


業界のタブー (?) に、敢えてチャレンジした東京国立近代美術館の姿勢に帽。
きっと、これまでの真面目な東京国立近代美術館のイメージをぎ捨て、皮を図ろうとしているのでしょう!
これは、皆様のためにも、一肌ぐしかありません。
期待に胸を膨らませ、東京国立近代美術館に行ってきました。
(↑決して、鼻の穴は膨らませていない)

会場に着いてみると、想像通りというか、
あまりに想像通りでビックリと言いますか。

観客のほとんどが、男 (笑)

普通の美術展とは違う悶々とした空気が漂っていたような気がします。
ただ、観客は男が多いですが、監視員さんのほとんどが女性のため、
たくさんのヌード画を、マジマジと観るには妙に気まずく、会場を早く出したい気分に襲われました。


さてさて、美術展を観進めるにつれ、大事なことに気が付きました。

“美術展そのものには、あの公式HPのようなノリがないじゃないか!”

結局のところは、普通の真面目な美術展。
これまでの東京国立近代美術館のイメージを、なんら却していませんでした。。。
作品数がそこまで多くないのもあって、兎のごとく、あっさり見終わってしまいましたし。。。
星
かなり期待していただけに、力。


とはいえ、心に残った(あくまで、性的な意味で無く!) 作品も多数。
そのうちのいくつかをご紹介します。

まずは、今回の目玉の一つ黒田清輝の 《智・感・情》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-智・感・情


黒田清輝は、日本に、いやらしくないヌード画を根付かせようとした画家の一人。
こちらの作品では、明治期の女性にはあり得ない7.5頭身にすることで、いやらしさを拭おうとしたのだとか。
確かに、 「貼るは、サロンパス!」 とでも言っていそうな女性は、いやらしくないですが。
向かって左の恥ずかしげな女性のヌードは、それなりにいやらしい気がします。
・・・そこのところ、どうなのでしょう?黒田さん??


黒田清輝と言えば、 《裸体婦人像》 も必見。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-裸体婦人像


こちらは、明治期に社会問題にまで発展した一枚。
なんでも、女性の下半身まで描かれているのが、
警察的には、 「ケシカラン絵画!」 だったそうです。
そのため、 《裸体婦人像》 は、このままで展示することが許されず、
下半身に布を掛けた状態で展示されることになったのだとか。
(そっちのが、逆にエロい気がしますが…)
ちなみに、当時、その下半身に掛けられた布を、
何とかステッキで取ろうとした男性もいたのだとか (笑)
エロに対する飽くなき探究心を持った男性客ですね。

ともあれ、100年前には、普通に展示できなかった裸体画。
しかし、現代は、普通に展示されており、
警察も寛容しているという事実は、なかなか感慨深いものがありました。


もう一枚、黒田清輝の作品を。
今度は、女性ではなく、男性の裸体画。
《裸体・男(半身)》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-裸体・男(半身)


裸体であることよりも、ついつい頭に目が向いてしまいました。
脱いでいるのは、衣服だけでなく、頭髪も・・・(自粛)


黒田清輝以外の作品では、彼の弟子にあたる萬鉄五郎の 《裸体美人》 が印象的。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-裸体美人


窮屈な構図だなぁ、と思っていたら、
画面の真ん中に、おへそを合わせるために、こうなったのだとか。なるほど。
師匠が、下半身を露出した絵を描いて、警察沙汰になったので、
萬鉄五郎は、ちゃんと下半身の部分は、衣服で覆っています。
・・・が、衣服の下の下半身を想像 (いけない妄想) させるため、
あえて、脇毛を目立つように描いたそうです。
ちなみに、この女性モデルは、萬鉄五郎の新妻。
旦那のせいで、某黒木さんよりも歴史の古い脇毛女性として画像を残すことになったのですね。



最後に。
個人的に、一番グッと来たのは、小出楢重の描いた 《裸女結髪》 という一枚。
(あくまで、性的な意味で無く!!)

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-裸女結髪


背中のくびれ具合が・・・(あっ、何かいやらしい目で見ていると思われるな)
というか、女性の艶やかな髪が・・・(いや、これも、いやらしい目で見ていると思われるかも)
でなくて、女性が髪を結うのを背中越しに眺めるシチュエーションが・・・

えぇ、いやらしい目で見ましたよ!!




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