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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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篠田桃紅 昔日の彼方に

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先日3月28日に、日本を代表する墨のアーティスト・篠田桃紅さんが104歳の誕生日を迎えられました。
それを記念して、現在、菊池寛実記念 智美術館では、
篠田桃紅さんの最新個展となる “篠田桃紅 昔日の彼方に” が開催されています。

篠田


篠田桃紅さんの 《ある女の肖像》 という作品がエントランスに常設されているだけでなく、

篠田桃紅
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


地下へと続く階段の壁面にも、彼女の作品が設置されているなど、

篠田桃紅


篠田桃紅さんとは、非常にかかわりの深い菊池寛実記念 智美術館ではありますが。
現代陶芸を専門とした美術館なので、展示室は完全に現代陶芸仕様。
立体作品を展示することに特化しています。
それゆえ、篠田桃紅さんの平面作品を設置するには、適していないような。。。

と、心配に思っていたのですが、まったくの杞憂に終わりました。
空間と作品とが、メチャしっくりと合っていたのです。

会場
会場


僕が思うに、その理由は、篠田桃紅さんの作品は、
平面作品であるにも関わらず、平面に感じられないことにある気がします。
どの作品にも、奥行きが感じられるのです。
もしかしたら、普通の立体作品よりも、立体的なのかも。
なるほど。菊池寛実記念 智美術館の空間に合うはずです。
星星


例えば、展覧会のメインビジュアルにも使われている 《Monument|いしぶみ》 という作品。

いしぶみ


タイトルは、「いしぶみ」 とありましたが。
僕は、曇り空を連想しました。
空一面を覆う重々しい雲。
やや、どんよりした気分になりました。
しかし、よく見ると、作品のセンターに、シュパッと引かれた朱色のラインがあるのを発見。
そこに気が付いた瞬間に、
「あぁ、あの雲の向こうには、美しい夕空が広がっているんだ!」
そんな晴れ晴れしい気持ちになりました。
幾層もの雲の向こうのそのまた向こうにある夕景を感じる。
なんという、奥行き感。


逆に、こちらの作品に関しては、

作品


奥行きというよりも、画面から飛び出してくる感覚を覚えました。
画面いっぱいに白い龍がうねり、そして、こちらへと迫ってくるかのよう。
なんという迫力。まるで3D映画のよう。
なので、この作品に関しては、これくらいの距離を置いて、鑑賞するのがベターです。

距離


ちなみに、こちらの 《もみじ》 という作品は、篠田桃紅さんが昨年の秋に描いたという新作とのこと。

もみじ


朱で描かれているのは、おそらく川の情景です。
もみじの葉が流れているのか、それとも、もみじの葉が水面に映っているのか。
どちらにせよ、川のゆらめきや流れ、ゆったりとした動きが感じられました。
そして、その上に、あの有名な一種、
「ちはやふる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」 が書かれています。
和歌と (映像のように感じられる) 背景が見事にマッチ。
まるでカラオケビデオを見ているようでした。
(↑褒め言葉に思えませんが、僕的には最高に褒めているつもりです!)


さてさて、展覧会には、《もみじ》 以外にも、篠田さんの近作最新作が紹介されていましたが。
どれも100歳を超えた方の作品と思えないほど、瑞々しく、峻烈でした。
「100歳を超えているのに作品を生み出すスゴいアーティスト」 なのでは決してありません。
「スゴイ作品を生み出すアーティストが、たまたま100歳を超えただけ」 です。
ここまで何度も年齢の話をしておきながらなんですが。
篠田桃紅さんの美術作品を語るのに、年齢の件は一切不要です。

まだまだ作品が進化し続けている篠田桃紅さん。
これからの新作も楽しみです。




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