サントリー美術館が、赤坂のサントリービルから、
現在の東京ミッドタウン内に移転してから、ちょうど10年。
それを記念して、今年のサントリー美術館は、六本木開館10周年を祝う特別展が目白押し!
そのトップバッターを飾る展覧会が、“六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝” です。
会場には、国宝の 《玄奘三蔵絵》 や、
国宝 《玄奘三蔵絵 巻四(部分) 十二巻のうち一巻》 鎌倉時代 14世紀 藤田美術館 画像提供:奈良国立博物館(撮影:佐々木香輔)
(注:展示期間は3/29~4/24)
重要文化財の 《石山寺縁起絵巻》 をはじめ、
重要文化財 《石山寺縁起絵巻 巻一(部分) 詞 杲守 筆 七巻のうち一巻》 鎌倉時代
絵 鎌倉時代 正中年間(1324~26)頃 / 詞 南北朝時代 14世紀後半 滋賀・石山寺
日本中から貴重な絵巻の数々が大集結しています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
しかし、今回の展覧会の主役は、絵巻そのものに非ず。
歴史上に名を残す絵巻マニアたちに、スポットが当てられているのです。
例えば、最初に登場するのは、「遊びをせんとや生まれけむ」 でお馴染みの (?) 後白河院。
彼は、三十三間堂で有名な蓮華王院に設けた宝蔵に、
和漢の典籍や楽器など多様な文物をコレクションしていました。
その中でも特に多く集めていたのが、絵巻だったそうです。
つまり元祖・絵巻マニア。
そんな蓮華王院宝蔵に納められた絵巻コレクション (略して、宝蔵絵) を、
父親の伏見天皇から貸し与えられ、興奮気味に鑑賞し、
「予、幼年の時より絵を好むものなり」
と日記でカミングアウトしているのが、第1章の主人公・花園天皇です。
ちなみに、こちらがその日記 (『花園院宸記』)。
字は、わりと汚めです (笑)
ちなみに、花園天皇のもとで絵師として活躍したのが、高階隆兼。
高階隆兼の登場によって、絵巻は黄金期を迎えたと言われています。
さすが絵巻マニア。
花園天皇の鑑賞眼は伊達ではありません。
と、こんな感じで、展覧会では、親子で絵巻を貸し借りしていた後崇光院や後花園天皇、
絵巻を鑑賞するだけでは飽き足らず、絵巻の制作プロデューサーもこなした三条西実隆など、
キャラの濃い絵巻マニアが、彼らと関わりの深い絵巻や資料とともに、続々と登場します。
今でこそ、貴重な美術品という印象が強い絵巻ですが。
当時は、アニメ映画 (それも個人で楽しむ用) みたいな存在だったのでしょうね。
いつの時代も、その手のマニアがいる。
そんなことを実感させられたユニークな展覧会でした。
ちなみに、こんな絵巻も紹介されていました。
《放屁絵巻》 です。
おならの強さ比べが描かれています。
いつの時代も、おならで笑う人がいる。
そんなことも実感させられました。
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六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝
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