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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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『今様』 ―昔と今をつなぐ

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渋谷区立松濤美術館で開催中の “『今様』 ―昔と今をつなぐ” に行ってきました。

今様


こちらは、昨年にホノルル美術館とハワイ大学で開催された展覧会の巡回展で、
伝統技法に接点を持つ6名の現代アーティストの作品が、古美術作品とともに紹介されています。
(注:古美術作品は会期中に展示替えあり)

たいがいのグループ展は、(自分にとって) ハズレな人が1人2人くらい紛れているものですが。
今回の展覧会に関しては、6名全員大当たり!
どのアーティストの作品も面白く、欲を言えば、それぞれの個展が観たいと感じてしまったほどでした。

まずは、先月の佐倉市立美術館での展覧会でも紹介した満田晴穂さん。
自在置物の作品を発表している現代アーティストです。

今回の展覧会では、江戸時代に発刊された本と合わせて展示されていました。

満田晴穂さん
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


まるで本の中から虫が這い出てきたかのようです。
わらわらと蠢いていた気がしましたが、たぶん気のせいでしょう。

数ある満田さんの作品の中で特にインパクトが強かったのが、《無為》 という作品です。

無為
無為
《無為》 2016年 作家蔵


まるでホラー映画のワンシーン。
思わず背中がゾワゾワしました。
しかし、実は、かつて日本では、ムカデは縁起が良いものとされていたのだそうです。
(足が多い→客足を呼ぶ→商売繁盛)
そんな時代もあったのですね。
ムカデに対するイメージの 『今様』 を考えさせられる作品でした。


続いては、彫刻家の棚田康司さん。

棚田
(中央) 棚田康司 《木の花は八角と星形の台に立つ》 2015年 作家蔵  (周囲) 棚田康司 《12の現れた少女たち》 2016年 作家蔵


彼の作品は、伝統的な仏像と同じく、一木造りの技法で作られています。
ちなみに、12点の小品からなる 《12の現れた少女たち》 は、
とある神社で実際に柱として使われていた木材を使って制作されたものなのだとか。
そう聞いて、なんとなく円空仏を連想。
その流れで、ふと少女たちの目線の先に目を向けると・・・

円空


リアル円空仏が展示されていました。
時代を超えた一木造りの競演。
濃密な空間でした。


濃密と言えば、今回の展覧会の紅一点・木村了子さんの作品もかなり濃密です。

木村了子
(左)木村了子 《男子楽園図屏風East & West》 2011年 作家蔵  (右)木村了子 《Aloha `Oe Ukulele―夢のハワイ》 2016年 作家蔵


木村さんは、美人画ならぬイケメン画を描くアーティスト。
作品には、いろんなタイプのイケメンが登場します。
まさにイケメンパラダイス。
全女子必見です (←?)。


他にも、パソコンやビニール傘を手にしたドクロの戦士を友禅の技法で描く石井亨さんや、

石井亨


漆芸の技法を使って、ポップでキッチュなナニモノかを作る染谷聡さんのユニークさに惹かれましたが

染谷聡
(左) 染谷聡 《御椀獣三郎》 2010年 作家蔵  (右) 染谷聡 《森の中の森》 2016年 作家蔵

染谷聡
(左) 歌川国芳 《武者尽はんじもの》 江戸時代 太田記念美術館蔵  (右) 染谷聡 《おすましる代》 2009年 個人蔵


ユニークさに関しては、「ニッポン画」 でお馴染みの山本太郎さんが頭一つ抜けていた気がします。

山本太郎
(左) 山本太郎 《紅白紅白梅図屏風》 2014年 個人蔵  (右) 山本太郎 《隅田川 桜川》 2016年 個人蔵


《紅白紅白梅図屏風》 の元ネタは、もちろん尾形光琳の 《紅白梅図屏風》
でも、よく見ると、流水の部分が、あの世界的清涼飲料水になっています。
それゆえ、どうも流れがシュワシュワしているような。
さわやかになるひとときを味わえる一枚です。



最新の現代アートも楽しめて。
さらに、最近若い人にも人気の江戸美術も楽しめて。
まさに 『今様』 な展覧会です。
星星
500円というワンコインで鑑賞できるのも嬉しい限り。
今、オススメの展覧会の一つです。




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