本日は、 “熊谷守一美術館27周年展” に引き続き、
もう一つ、 『27』 という数字にまつわる美術展を、ご紹介。
さて、話は、2週間前に遡りまして。
ちひろ美術館・東京で行われる、
とある記者会見に、列席させて頂けることになりました。
センターにいらっしゃるのは、そう、黒柳徹子さん。
『徹子の部屋』 の家主 (?) にして、ちひろ美術館・東京の館長です。
向かって左に座られていたのは、
いわさきちひろの夫である松本善明さんと、一人息子の猛さん父子。
そして、向かって右に座られていたのは、女優の中原ひとみさん。
こちら、一体、何の記者会見かと云えば、
今年の夏に全国公開される映画 『いわさき ちひろ~27歳の旅立ち~』 の記者会見。
そのほんわかとした絵の世界から、
勝手に、 「いわさきちひろの人生も、ほんわかとしていたんだろうなぁ」 と思っていましたが。
いやいや、実際は、全くもって、そんなことは無く。
27歳にして、バツイチ・家なし・職なしの3重苦、
おまけに、結婚相手は、8歳年下の若きコミュニストで、収入も安定しない。
そんな人生崖っぷちの状態 (?) で、絵の道で生きていくという、一大決心をしたのだとか。
映画の監督を務めた海南友子さんが、
「当時の方が、世の中の精神年齢が高く、27歳は、今でいうアラフォーのようなもの。
もうオバサンに近い (笑)
そんな中で、この決意をしたのは、同じ女性として、人間として尊敬する」
と、おっしゃっていたのが、印象的でした。
そんないわさきちひろの知られざる一面が、
『ちひろ 27歳の旅立ち』 の中で、彼女と縁のある人々が、次々に証言するとのこと。
これは、気になります。
「その話、早く知りたい!夏公開まで待てない!」
と、僕のように思った方も、多いはず。
そんな皆様に朗報です♪
現在、ちひろ美術館・東京では、映画の公開に先駆けて、
“ドキュメンタリー映画公開記念展 ちひろ 27歳の旅立ち” が開催中。
こちらの美術展でも、画家を志したいわさきちひろの知られざる半生が、
貴重な資料や原画などの作品を交えながら、紹介されています。
これまでちひろ美術館・東京で開催されていた美術展は、
様々な切り口で、いわさきちひろの作品にスポットを当てたでしたが。
今回は、いわさきちひろ、その人にスポットを当てた、ちょっと異色の美術展。
彼女が若き頃に描いたデッサン画や、
《いわさきちひろ 自画像(27歳)》 など、
(C)CHIHIRO ART MUSEUM
かわいい絵本作家・いわさきちひろではなく、
画家としてのいわさきちひろの一面が、紹介されているのが印象的。
また、妻としてのいわさきちひろの一面も。
こちらは、 《結婚誓約書 日記「わが愛の記録」》 です。
さぞラブラブな内容かと思いきや、読んでみると、結構フツウじゃない (笑)
(C)CHIHIRO ART MUSEUM
一、人類の進歩のために最後まで固く結びあって斗うこと
・・・スケールが大きいです!
一、お互いの立場を尊重し、特に藝術家としての妻の立場を尊重すること
・・・イーブンな関係というより、若干、妻寄りの結婚誓約書 (笑) ??
一、土曜日に以上のことを点検すること
・・・毎週土曜日は、夫婦水入らずだったのでしょうね。ごちそうさまです。
他にも、母としてのいわさきちひろや、
平和を願う一人の人間としてのいわさきちひろの姿が紹介されていました。
《戦火のなかの子どもたち》
(C)CHIHIRO ART MUSEUM
いわさきちひろの生きざまに迫れる美術展。
この美術展を観た後に、彼女の作品を見ると、
ただ単に優しいだけの絵とは感じられず、その裏側にある芯の強さみたいなものも見えてきます。
ちなみに。
現在、展示室2では、
“ちひろ美術館コレクション 奇想の絵本 ―夢幻とナンセンス―” が同時開催中。
いわさきちひろの原画を、多数所蔵しているちひろ美術館ですが、
実は、もう一つのコレクションとして、戦後の世界の絵本画家の原画を蒐集しています。
その数、なんと約17100点 (!)
今回は、その絵本画家の作品の中から、
「夢幻」 と 「ナンセンス」 をテーマに、セレクト。
クヴィエタ・パツォスカーの 《紙の町のおはなし》 や、
(C)CHIHIRO ART MUSEUM
ローベルト・ブルンの 《スロヴァキア(『12ヵ月のおとぎばなし』より)》
(C)CHIHIRO ART MUSEUM
日本人では、長新太の 《チョコレートパン》
チョコレートパン (幼児絵本シリーズ)/長 新太
¥840
Amazon.co.jp
・・・などが、紹介されていました。
「絵本=子どものための本=カワイイ」 という先入観を持っていましたが。
ちょっぴりグロ系な絵本や、怖いタッチの絵本もあって、
“ちひろ 27歳の旅立ち” に引き続き、こちらでは、絵本の知られざる一面を目の当たりにしました。
とりわけ怖かったのが、上でも紹介したローベルト・ブルン。
ただ、絵のタッチが怖いというだけでなく、
“何がどうなって、その完成形に至ったのか” という思考回路が全く読めないのも、怖いところ。
彼が、シンデレラを描くと、こうなります↓
何がどうなって、こうなった (笑) ??
こんな登場人物いましたっけ??
子どもの時に、彼の絵に出会っていたなら、
確実にトラウマになっていたことでしょう(。>0<。)
怖い絵でお別れするのも、なんなので。
最後は、今回展示されていた、いわさきちひろの可愛らしい一枚を。
《カーテンにかくれる少女》
(C)CHIHIRO ART MUSEUM
元祖・ぐるぐるカーテンですw
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ドキュメンタリー映画公開記念展 ちひろ 27歳の旅立ち
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