アートテラーなら絶対に行っておきたい、
いや、絶対に行っていなければならない美術館に、ようやく足を運んでまいりました。
1930年に倉敷の地に誕生した日本で最初の西洋近代美術館、そう、大原美術館です。
さてさて、倉敷駅に降り立った時から、大原美術館は始まっていました。
駅前から伸びる倉敷商店街の店頭に、大原美術館所蔵の名画の複製画が展示されていたのです。
題して、「商店街まるごと美術館」 とのこと。
何ともユニークな取り組みです。
ちなみに、たこ焼き屋の店先に展示されていたのは、ジャクソン・ポロック。
きっとソースのかけ方が、ポロック風なのでしょう。
そんな倉敷商店街を抜けると、実にイイ感じのレトロな景色が飛び込んできました。
こちらが、いわゆる倉敷美観地区。
美観、美観とは聞いていましたが。
これほどまでに、美観だとは!!
御見それいたしました (←?)。
味わい深い倉敷美観地区の中心にそびえ立っていた、ひときわ味わい建造物。
それが、大原美術館でした。
では、早速、中に入ってみましょう。
まずは西洋美術が展示された本館から。
モネから直接購入を許されたという 《睡蓮》 や、
(注:この記事に使用している作品の画像は、特別に大原美術館より提供頂いたものです)
アルプスの画家・セガンティーニの代表作 《アルプスの真昼》 をはじめ、
昨年、国立新美術館にやってきた大原美術館のベストメンバーが、そろい踏み。
国立新美術館の会場で展示されていたのも良かったですが。
やはり、大原美術館の壁に飾ってあるほうが、しっくりくる気がします。
地元に戻った姿 (?) を観られて、良かったです。
ちなみに、マスターピースであるエル・グレコの 《受胎告知》 も、
地元で鑑賞したほうが良かったです。
心なしか、マリア様に余裕が感じられました。
いきなり受胎を告知されても、動じていない感じ。
「あなた、神の子を宿しましたよ」「わかりました。産みましょう」
さてさて、てっきり昨年の大原美術館展で、
大原美術館のすべてを観尽くしたとばかり思っていたのですが。
あれがベストメンバー全員ではなかったことが、大原美術館を訪れて初めてわかりました。
「お前はまだオオハラを知らない」 と指摘された次第です。
一番の驚きは、ベルギー象徴主義の画家レオン・フレデリックの超大作が展示されていたこと。
縦1.6メートル。
そして、横幅は、なんと11メートル!
この大作に合わせて、大原美術館の建物の大きさが決められたのだそうです。
展示されているのは、天井近くの高めの位置。
あまりの大作ぶりに、開いた口は塞がらないし、伸ばした首は戻らないし。
大原美術館で観るべき一作でした。
また、分館には、日本の近代絵画の数々が展示されています。
中でも特に目を奪われたのが、岸田劉生の 《静物~赤りんご三個、茶筒、ブリキ缶、匙》 。
元々、岸田劉生の静物画は好きなのですが。
この絵画が目に飛び込んできた瞬間、思わず息が止まりました。
ブリキ缶がテーブルに反射している様子の表現が、特に秀逸。
テーブルが右に少し傾斜しているのも、狙った感じがして心憎いです。
ただ一つ気になったのは、画面上部中央の “劉” の一字。
自己アピールが、やや過剰です。
本館と分館の他にも、大原家の土蔵を人間国宝の芹沢銈介によって、
劇的ビフォーアフターされた工芸・東洋館 (主に民芸運動に携わった作家たちの作品と中国美術のコレクションを展示) や、
旧・倉敷紡績工場跡 (現・倉敷アイビースクエアー) の倉庫を改装した児島虎次郎記念館があります。
質、量ともに大充実。
そして、大満足です。
行こう行こうと思っていて、10年以上経過してしまった僕が言うのも、大変おこがましいのですが。
美術好きなら、絶対に1度は足を運ぶべき美術館です。
東京からは遠いかもしれませんが、そこは是非気合を入れて頂いて。
本気になったら、大原です。
最後に、児島虎次郎記念館で出会った菜々緒をご紹介。
ちなみに、タイトルは 《凝視》 でした。
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大原美術館
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