猫好き必見の浮世絵展が、現在、太田記念美術館で開催されています!
その名も・・・
“浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし-” です。
前期 (6/1~6/26) と後期(6/30~7/26) を合わせて、紹介される浮世絵は243点。
リアルな可愛さの猫 (小林清親 《猫と提灯》) から、
(前期展示)
漫画チックな可愛さの猫 (小林幾英《志ん板猫のおんせん》) 、
そして、そうでもない猫まで (笑)
(歌川国貞(三代豊国) の《東海道五十三次之内 白須賀 猫塚》なんて、もはや猫というよりは、劇団四季のキャッツみたいな感じですw)
総勢で、なんと2321匹 が登場します!
(↑カウントした方、本当に本当にお疲れ様でした
浮世絵だけでなく、猫を題材にした江戸のボードゲームや、猫の人形まで登場する充実ぶり。
かつて、こんなにも猫推しの浮世絵展が、あったでしょうか。
まさに、猫まっしぐらな浮世絵展。
2つ星。
突然ですが、僕は、どちらかと言えば、犬派。
かねてより、猫派の人々に対して、思っていたことがありました。
それは、 “猫派は、猫派であることを前面に押し出してくるなぁ” ということ。
猫派の人には、尋ねてもいないのに、 「猫が好きなんだよね」 とアピールしてくる人が多い!
対照的に、犬派の人は、犬派or猫派と質問されて初めて、
「犬が好きなんだよね」 と答える人のが多い気がします。
ブログやYouTube動画でも、猫ブログや猫動画のが、
犬ブログや犬動画よりも断トツに多いのではないでしょうか (あくまで、とに~調べ)
と、そんな “猫派であることアピール症候群” が、
江戸時代にもあったというのは、今回の浮世絵展を通じての一番の発見。
猫を描いた浮世絵が、こんなにも多いとは!
念のため、学芸員さんにも聞いてみたのですが、
猫の浮世絵は多いものの、犬の浮世絵は猫に比べて、グッと少ないとのことです。
ちなみに、江戸を代表する猫派が、歌川国芳。
家には、常に数十匹の猫を飼っていたと云う筋金入りの猫派です。
弟子の月岡芳年による 《歌川国芳肖像》 でも、ちゃんと猫が仲良く描かれています。
そんな猫可愛がりな国芳だけに、猫を描いた浮世絵を多数残しています。
今回の美術展では、その大半が、国芳ならびに国芳の弟子たちが描いた作品です。
いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、“かつを” の3文字を猫だけ表現した 《猫の当字 かつを》
モジモジくん…ならぬ、モジモジにゃん。
この無理無理やらされている感が、逆に可愛らしい (笑)
ちなみに、 “か” の字を担当する猫が頭に被っているのは、お菓子の袋だそうです。
で、この謎のお菓子の袋。
弟子の月岡芳年が描いた 《猫鼠合戦》 にも登場していました。
この謎のお菓子の袋には、猫が頭を入れたくなる何かがあるに違いない。
続いて、現在では1点しか確認されていないという超貴重な 《流行猫じゃらし》
猫たちが座敷遊びをしているという設定の面白さもさることながら。
注目すべきは、その着物の柄。
奥にいる酒を飲んでいる猫の着物は、鈴柄。
そして、手前の三味線を弾いている猫の着物は、食べた魚柄。
こういう細かな部分にも遊び心があって、実にニクい。
着物の柄と言えば、こちらも必見。
《国芳もやう 正札附現金男 野晒悟助》
「ひえ~、ドクロ柄 Σ(=°ω°=;ノ)ノ」
と思いきや、よ~く見ると、何匹もの猫が集まって出来たドクロ柄。
怖いのか、可愛いのか、ハッキリして欲しい (笑)
と、この猫がたくさん集まって、別の絵になるという発想は、
彼の弟子にも、しっかりと受け継がれているようで。
歌川芳藤の 《小猫を集め大猫にする》 という浮世絵が紹介されていました。
ネコ版スイミーです (笑)
国芳による猫作品は、まだまだあります。
お次は、 《初雪の戯遊》
雪遊びをする女性たちを描いた風俗画なのですが、3枚続きの真ん中と右の絵に注目。
女性たちが作ったのは、巨大な雪の猫。
かなり本格的に作っています。
素人というよりは、プロの仕事です (笑)
さっぽろ雪まつりに出せるレベルと言っても過言ではないでしょう。
役者絵を描いてはいけないという時代に、
歌舞伎役者を落書き風に描いた 《荷宝蔵壁のむだ書(黄腰壁)》
(あくまで、役者絵ではなく、落書きの絵と言い張ったそうなw)
こちらの絵にも、猫が描かれています。
アップで見てみましょう↓
完全に、赤塚不二夫スタイルwww
この他にも、たくさんの国芳とその弟子たちによる猫作品がありますが。
それは、是非、会場にて、皆様の目でお楽しみくださいませ。
最後に、国芳とその一門以外の猫作品を。
ご覧頂きますのは、
ネズミ退治に効果があると信じられていた 《新田猫》 なる肉筆画です。
「・・・・・えっ、この下手くそな絵が (笑) ??」
そう思ってしまった、そこのアナタm9(`・ω・´)
時代が時代なら、打ち首かもしれませんよ。
というのも、この下手くそ…ではなく、
愛嬌たっぷりの猫を描いた新田道純は、群馬県新田郡のお殿様。
農民にまで心配されるほどの貧乏なお殿様だったそうで、
こうして、猫の絵を描いては、大切な収入源にしていたのだとか。
僕も人生にいよいよ困った時は、猫の絵を描いてみよう。
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浮世絵猫百景-国芳一門ネコづくし-
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