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歿後60年 椿貞雄 師・劉生、そして家族とともに

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今回ご紹介するのは、千葉市美術館で開催中の “歿後60年 椿貞雄 師・劉生、そして家族とともに”
今年、歿後60年を迎えた洋画家・椿貞雄 (1896~1957) の大々的な回顧展です。

自画像
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


椿貞雄というと、岸田劉生を主役にした展覧会で、
その弟子 (年齢は5コ下) という立ち位置で、いわばサブキャラ的に紹介されることが多い画家。
しかし、今回の展覧会は、椿貞雄が主役で、岸田劉生が脇役。
ちゃんと椿貞雄にスポットが当てられています。


まず、展覧会の冒頭では、椿貞雄の初期作品と、
師である岸田劉生が同時期に描いた作品が対比的に展示されていました。

肖像画
自画像


こうして比べてられてしまうと、残念なことに、
やはり技術的には劉生のほう (いずれも写真右) が何段階も上であるのが明らかに。
劉生の作品には、コクのようなものがあります。
コッテリしていて、画面の密度が濃い。
圧が強くて、「ゴゴゴゴゴゴゴ…」 と迫ってくる感じです。

対して、椿貞雄の作品は、今一つ惜しい感じ。
椿貞雄オリジナルというよりは、全体的に岸田劉生風。
師匠のすべてを学び取ろうという生真面目さが、全面に出てしまっている感じです。

ちなみに、そんな椿貞雄が描いた風景画は、限りなく 《道路と土手と塀(切通之写生)》 風。

風景


童女を描いた絵は、どこからどう見ても 「麗子像」 風です。
明らかに師匠の絵に寄せてます。

麗子


しかし、こと静物画に関しては、師匠の劉生を越えていた気がします。

静物画


特に、陶磁器の質感の表現は、目を見張るものがありました。

陶磁器
陶磁器


陶磁器を描かせたら、椿貞雄の右に出るものはいないのでは?
それくらいに素晴らしかったです。
星星


ちなみに、椿貞雄本人は、冬瓜やカボチャがお気に入りの画題だったよう。
飽きもせずに、冬瓜やカボチャの絵を何点も描いていました。

カボチャ
カボチャ


元祖・カボチャの画家としてブレイクする日もそう遠くないかもしれません。


最後に、今回出展されていた作品の中で、一番衝撃的だった作品をご紹介いたしましょう。
《洋装せる菊子立像》 です。

様子


菊子のマネキン感がハンパではありません。
手足は、完全にプラスチックです。
一瞬、人物を描いたものではなく、
ペコちゃん的なマスコットを描いた絵なのかと思ってしまったほど。。。


それから、椿貞雄が1927年から亡くなるまで住んでいたという、
船橋の観光協会のために描いたポスターも、なかなかに衝撃的でした。

ポスター


さすが、ふなっしーを産んだ船橋。
この時から、なんだかユルかったのですね。




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