長谷川等伯の国宝 《松林図屏風》 と尾形光琳の 《群鶴図屏風》。
近世の日本を代表する二人の絵師が描いた世界に、
想像力を広げるダイナミックな映像プロジェクションを組み合わせ、
五感で楽しむ体験型インスタレーション。
名画の世界に入り込む、あたらしいアート体験をお楽しみください。
・・・・・とは、一体どんな展覧会なのか?!
期待に胸を膨らませて、東京国立博物館の本館特別4室・5室で開催中の夏休み企画、
“親と子のギャラリー びょうぶとあそぶ 高精細複製によるあたらしい日本美術体験” に行ってきました。
まずは、長谷川等伯の国宝 《松林図屏風》 の世界に入ります。
会場に入る前から、何やらイイ匂いがします。
森の匂いでしょうか。
・・・・・と思ったら、いろんな香りがブレンドされていました。
《松林図屏風》 なのに、パイン。
《松林図屏風》 なのに、レモン。
でも、意外とマッチしていました。
さて、暗い展示室内に一歩足を踏み入れると、
そこには、夜の 《松林図屏風》 をイメージした世界が広がっています。
なんとなく、チームラボ感。
なんとなく、ネイキッド感。
どこかで見たプロジェクションマッピングのイベントのような。
デジャヴ必至です。
そして、そんなプロジェクションマッピングゾーンを抜けると・・・
いよいよ 《松林図屏風》 が登場です!
しかも!!
畳の上に乗ることが可能。
《松林図屏風》 を間近で鑑賞出来てしまうのです。
・・・・・と言っても、こちらは高精細複製画。
そこら辺のレプリカ (?) よりも、ずっと高精細ですが。
レプリカはレプリカです。
なので、サラッと眺めて、畳からおりました。
すると、たまたま、そのタイミングで、
《松林図屏風》 の背後にある直径約15メートルの半円形の大型スクリーンに映像が流れ始めました。
なんとなく、チームラボ感。
なんとなく、ネイキッド感。
どこかで見た (以下略)
気を取り直して、次の展示室へ。
こちらでは、フーリア美術館が所蔵する 《群鶴図屏風》 が展示されています。
こちらも、高精細複製画。
そのサイドの壁一面には、映像が投影されていました。
映像内で飛んだり歩いたりしている鶴は、
鑑賞者の動きに合わせて、インタラクティブに動く仕掛けになっているそうです。
で、一通り、鑑賞者とのやり取りが終わったら・・・
画面が暗転し、鶴たちは屏風へと戻っていきます。
意外とビジネスライクな鶴たちでした (笑)
日本美術をより親しみやすくする。
この手の試みは、大・大・大歓迎です。
絶対に、これからも続けていってほしいですし、
トーハク以外のミュージアムでも、積極的に取り入れてほしいと思います。
それを踏まえたうえで・・・
“やっぱり実物でやってほしかった・・・”
その一言に尽きます。
実物を使うと、保存の問題など、さまざまな課題があるのは重々承知。
しかし、だったら、何も国宝や重要文化財を使わずに、
比較的に規制が緩そうな屏風作品を使わなかったのでしょうか。
「いや、それでも、どうしても名作の屏風を題材にしたい!」
なるほど。そういうことならば、レプリカでもいいでしょう。
であるなら、一般的には馴染みのないフーリア美術館の 《群鶴図屏風》 でなくて、
もっと馴染みのある国宝の 《風神雷神図屏風》 とか 《紅白梅図屏風》 のほうが良かったのでは?
もしくは、トーハクの所蔵作品を題材にして、レプリカで展示。
実物は、総合文化展の別会場で目にすることが出来る。
それなら、トーハクで開催する意味がありましょう。
今回の展示では、トーハクで開催する意義が、イマイチわかりませんでした。
そして何よりも。
総合文化展も観覧出来るとは言え、観覧料620円で、
2点しかインスタレーション作品がないというのは・・・。
わびさびの世界です。
(星なし)
あと、ついでに、もう一言。
良い意味でも悪い意味でも、子供向けな感じではなかったですよ。
「親と子のギャラリー」 とありますが、普通に大人同士でも楽しめます。
むしろ大人のほうが楽しめます。
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親と子のギャラリー びょうぶとあそぶ
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