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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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生誕140年 吉田博展 山と水の風景

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明治から昭和にかけて、風景画の第一人者として活躍した吉田博。
その生誕140年を記念した大回顧展 “生誕140年 吉田博展 山と水の風景” が、
新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催されています。(前後期で、大々的な展示替えあり)

日本では、あまりその名を知られていない吉田博ですが。
実は、海外では知名度の高い日本人アーティスト。
あの精神科医のフロイトや、あのマッカーサー、
さらには、あのダイアナ妃も吉田博のファンとして知られています。

ダイアナ
《ケンジントン宮殿の中にある執務室のダイアナ妃》 イギリスの王室雑誌『Majesty』1987年より 写真提供:吉田司


ちなみに、ダイアナ妃の執務室に飾られていたのは、《猿澤池》《瀬戸内海集 光る海》 という作品。
今回の展覧会にも、それらと同じ作品が出展されていました。

ダイアナ
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


さて、吉田博と言えば、木版画。
彼は、同じ版木を用いながらも、
色を替えて刷ることによって、時間や気候の変化を表しました。

不ね
連作


モネの 《睡蓮》《積みわら》 といった連作にどこか通ずるこの画期的なシリーズは、世界で大ヒット。
吉田博の代名詞ともいうべき作品シリーズとなり、数多くの作品を生み出しました。


また、洋画家としてキャリアをスタートさせた吉田博。
木版画作品以外にも、数多くの洋画作品を残しています。
そのほどんとが風景画。
それもほとんどに山が描かれています。

山
《穂高山》 大正期 油彩 個人蔵

穂高山


絵の前に立った瞬間、思わず脳内で 『クリフハンガー』 のテーマ曲が流れました。
それほどの臨場感があります。




それもそのはず、これらの山の絵は、
吉田博が実際に山に登って、描いたもの。
毎年夏になると日本アルプスに数ヶ月も籠もり、
画題を探し求めたほどの登山好きだったようです。
その繋がりでしょうか、今回の展覧会は登山用品でお馴染みのモンベルが協賛しています。
記念撮影コーナーにも、モンベルの登山用チェアが置かれていました。

モンベル


さてさて、今回出展されていた作品の中で、
個人的にビビッときたのは、戦時中に描かれたという戦闘機の空中戦の絵。

絵


絵の前に立った瞬間、思わず脳内で 『トップガン』 のテーマ曲が流れました。




こちらの絵も、臨場感がたっぷり。
「もしや?」 と思ったら、やはり吉田博は、実際に戦闘機へ搭乗したことがあるのだとか。


この他にも、コーヒーでお馴染みのマウントレーニア (レニア山) を描いた作品や、

レニア


夏目漱石の 『三四郎』 の作中にも登場したという 《ヴェニスの運河》 など、

ヴェニスの運河》


ビビッとくる絵画が多数ありました。
展覧会を観終わったときには、すっかり吉田博のファンとなっていました。
星星


・・・・・と、逆に、一つの疑問が。
絵も素晴らしい。海外での知名度も高い。
なのに、何故これほどまでに、吉田博の日本での知名度は低いのでしょうか。
もしかしたら、親戚に一人はいそうな 「吉田博」 という平凡すぎる名前が原因なのかもしれません。
あるいは、若き日のとあるエピソードが原因かも。
23歳のときに渡米した吉田博。
ひょんなことからデトロイト美術館で友人と二人展をする機会に恵まれます。
その展覧会が、大盛況。
絵が売れに売れて、なんと小学校教諭の生活費13年分のお金を手に入れました。
まさにアメリカンドリーム!
って、日本人には、ウケがよくないエピソードですよね。

ちなみに、その生涯を通じて、吉田博の絵は売れ続けたそうです。
吉田博しかり、ヨシダソースしかり。
アメリカでは、“ヨシダ” が人気のようです。




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