現在、東京都美術館で開催されているのは、“ボストン美術館の至宝展” 。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
世界屈指の美の殿堂・ボストン美術館が所蔵するコレクションの中から、
日本初公開となる作品を含む選りすぐりの80点の名品を紹介する展覧会です。
さて、ボストン美術館が所蔵するコレクションの総数は、約50万点 (!) 。
それだけ膨大なコレクションを有しているからでしょう。
実は、毎年のようにボストン美術館展は、日本で開催されています。
それゆえ、今回の展覧会に関しても、
「あ、また、ボストン美術館か」
と思っている方も、少なからずいらっしゃることでしょう。
しかし、今回のは、いつものボストン美術館展 (?) と違って、
幅広いジャンルを、一気に楽しむことが出来るのが最大の特徴となっています。
ツタンカーメンの像をはじめとする古代エジプト美術もあれば、
《ツタンカーメン王頭部》 エジプト、新王国時代、第18王朝、ツタンカーメン王治世時、紀元前1336~1327年
中国美術、特に北宋・南宋時代の名品もあり、
セザンヌをはじめとするフランス美術もあり、
左)ポール・セザンヌ 《卓上の果物と水差し》 1890~94年頃
右)アンリ・ファンタン=ラトゥール 《卓上の花と果物》 1865年
もちろん日本美術もあり。
左)曾我蕭白 《飲中八仙人図》 1770(明和7) 年頃
右)曾我蕭白 《風仙図屏風》 1764(宝暦14/明和元)年
さらには、ウォーホルや村上隆さんの作品など、
ポップアートや現代アートまでが勢ぞろいしています。
それぞれのジャンルに合わせて、壁の色や照明などを変えていたので、
展示スペースが切り替わるたびに、別の美術館に入るような新鮮な印象を受けました。
その演出のおかげで、いろんなアートを寄せ集めただけという感じは一切なし。
コレクションの幅が広いボストン美術館を、ギュギュっと凝縮したような展覧会でした。
喜多川歌麿の晩年の作 《三味線を弾く美人図》 や、
喜多川歌麿 《三味線を弾く美人図》 江戸時代、1804-06年(文化1-3年)頃 41.5cm × 83cm 一幅、絹本着色
Fenollosa-Weld Collection, 11.4642 Photograph © 2017 Museum of Fine Arts, Boston
ボストンのコレクターによって購入されたというモネの 《睡蓮》 など、
クロード・モネ 《睡蓮》 1905年 89.5cm x 100.3cm 油彩、カンヴァス Gift of Edward Jackson Holmes, 39.804
Photograph © 2017 Museum of Fine Arts, Boston
目玉となる作品は、ごろごろありましたが。
一番は何と言っても、約170年ぶりに本格的に解体修理され、
リニューアルほやほやの状態で初の里帰りを果たした英一蝶(はなぶさいっちょう)の 《涅槃図》 です。
英一蝶 《涅槃図》 江戸時代、1713年(正徳3年)286.8cm × 168.5cm 一幅、紙本着色
Fenollosa-Weld Collection, 11.4221 Photograph © 2017 Museum of Fine Arts, Boston
画面だけでも高さ約2.9m、表具を含めると高さはなんと約4.8mにもなる巨大な涅槃図。
もともとは東京の芝愛宕町のとあるお寺に伝わっていたものとのこと。
あのフェノロサが購入し、のちにボストン美術館のコレクションに加わったのだとか。
もし、フェノロサが購入せず、東京にあったままなら、
関東大震災や空襲の被害に遭っていた可能性は高いです。
おしゃかにならなくて、本当に良かった。
それから、ポスターにも使われている2点のゴッホの絵も、もちろん見逃せません!
左)フィンセント・ファン・ゴッホ 《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》 1888年
右)フィンセント・ファン・ゴッホ 《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》 1889年
ゴッホがジョゼフを描いた絵、
その妻であるルーラン夫人を描いた絵は、それぞれ来日したことがありますが。
夫婦揃っての来日は、今回が初めて。
ありそうで意外となかった2ショットなのです。
そういわれて見てみると、なんか華があります。
・・・・・とそんなルーラン夫妻の一方で。
全くスポットが当たっていなかったのが、こちらのエイモリー夫妻。
左)ジョン・シングルトン・コプリー 《ジョン・エイモリー》 1768年
右)ジョン・シングルトン・コプリー 《ジョン・エイモリー夫人(キャサリン・グリーン)》 1763年頃
作者は、アメリカの画家ジョン・シングルトン・コプリーです。
・・・・・誰??
作者が違うと、こうも扱いが違うのかというくらいに、人気がなかったです。
頑張れ、エイモリー夫妻!
さてさて、今回のボストン美術館展は、
作品だけでなく、コレクターたちにも焦点が当てられています。
例えば、こちらの一見何の変哲もない (←?) 日本の陶磁器。
奥)《鼠志野草文額皿》 桃山~江戸時代、16~17世紀
右)野々村仁清 《銹絵鳰形香合》 江戸時代、17世紀
実は、これらは、海洋生物学者のモースが、ボストン美術館に寄贈したもの。
ちなみに、モースは、約5000点もの日本陶磁器を寄贈しています。
日本で大森貝塚を発見した彼は、同じく日本で日本の陶磁器の美しさも発見していたのですね。
最後に。
これからボストン美術館展に行かれる方、
もし良かったら東京都美術館の館内で配布されている冊子をチェックされてみてください!
巻頭に担当学芸員さんとの対談記事が載っております。
対談場所であるみはしのあんみつを、いかに美味しそうに見せるか。
そこにこだわった記事となっております。
(もちろん、《涅槃図》 の見どころにも触れています)
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
世界屈指の美の殿堂・ボストン美術館が所蔵するコレクションの中から、
日本初公開となる作品を含む選りすぐりの80点の名品を紹介する展覧会です。
さて、ボストン美術館が所蔵するコレクションの総数は、約50万点 (!) 。
それだけ膨大なコレクションを有しているからでしょう。
実は、毎年のようにボストン美術館展は、日本で開催されています。
それゆえ、今回の展覧会に関しても、
「あ、また、ボストン美術館か」
と思っている方も、少なからずいらっしゃることでしょう。
しかし、今回のは、いつものボストン美術館展 (?) と違って、
幅広いジャンルを、一気に楽しむことが出来るのが最大の特徴となっています。
ツタンカーメンの像をはじめとする古代エジプト美術もあれば、
《ツタンカーメン王頭部》 エジプト、新王国時代、第18王朝、ツタンカーメン王治世時、紀元前1336~1327年
中国美術、特に北宋・南宋時代の名品もあり、
セザンヌをはじめとするフランス美術もあり、
左)ポール・セザンヌ 《卓上の果物と水差し》 1890~94年頃
右)アンリ・ファンタン=ラトゥール 《卓上の花と果物》 1865年
もちろん日本美術もあり。
左)曾我蕭白 《飲中八仙人図》 1770(明和7) 年頃
右)曾我蕭白 《風仙図屏風》 1764(宝暦14/明和元)年
さらには、ウォーホルや村上隆さんの作品など、
ポップアートや現代アートまでが勢ぞろいしています。
それぞれのジャンルに合わせて、壁の色や照明などを変えていたので、
展示スペースが切り替わるたびに、別の美術館に入るような新鮮な印象を受けました。
その演出のおかげで、いろんなアートを寄せ集めただけという感じは一切なし。
コレクションの幅が広いボストン美術館を、ギュギュっと凝縮したような展覧会でした。
喜多川歌麿の晩年の作 《三味線を弾く美人図》 や、
喜多川歌麿 《三味線を弾く美人図》 江戸時代、1804-06年(文化1-3年)頃 41.5cm × 83cm 一幅、絹本着色
Fenollosa-Weld Collection, 11.4642 Photograph © 2017 Museum of Fine Arts, Boston
ボストンのコレクターによって購入されたというモネの 《睡蓮》 など、
クロード・モネ 《睡蓮》 1905年 89.5cm x 100.3cm 油彩、カンヴァス Gift of Edward Jackson Holmes, 39.804
Photograph © 2017 Museum of Fine Arts, Boston
目玉となる作品は、ごろごろありましたが。
一番は何と言っても、約170年ぶりに本格的に解体修理され、
リニューアルほやほやの状態で初の里帰りを果たした英一蝶(はなぶさいっちょう)の 《涅槃図》 です。
英一蝶 《涅槃図》 江戸時代、1713年(正徳3年)286.8cm × 168.5cm 一幅、紙本着色
Fenollosa-Weld Collection, 11.4221 Photograph © 2017 Museum of Fine Arts, Boston
画面だけでも高さ約2.9m、表具を含めると高さはなんと約4.8mにもなる巨大な涅槃図。
もともとは東京の芝愛宕町のとあるお寺に伝わっていたものとのこと。
あのフェノロサが購入し、のちにボストン美術館のコレクションに加わったのだとか。
もし、フェノロサが購入せず、東京にあったままなら、
関東大震災や空襲の被害に遭っていた可能性は高いです。
おしゃかにならなくて、本当に良かった。
それから、ポスターにも使われている2点のゴッホの絵も、もちろん見逃せません!
左)フィンセント・ファン・ゴッホ 《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》 1888年
右)フィンセント・ファン・ゴッホ 《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》 1889年
ゴッホがジョゼフを描いた絵、
その妻であるルーラン夫人を描いた絵は、それぞれ来日したことがありますが。
夫婦揃っての来日は、今回が初めて。
ありそうで意外となかった2ショットなのです。
そういわれて見てみると、なんか華があります。
・・・・・とそんなルーラン夫妻の一方で。
全くスポットが当たっていなかったのが、こちらのエイモリー夫妻。
左)ジョン・シングルトン・コプリー 《ジョン・エイモリー》 1768年
右)ジョン・シングルトン・コプリー 《ジョン・エイモリー夫人(キャサリン・グリーン)》 1763年頃
作者は、アメリカの画家ジョン・シングルトン・コプリーです。
・・・・・誰??
作者が違うと、こうも扱いが違うのかというくらいに、人気がなかったです。
頑張れ、エイモリー夫妻!
さてさて、今回のボストン美術館展は、
作品だけでなく、コレクターたちにも焦点が当てられています。
例えば、こちらの一見何の変哲もない (←?) 日本の陶磁器。
奥)《鼠志野草文額皿》 桃山~江戸時代、16~17世紀
右)野々村仁清 《銹絵鳰形香合》 江戸時代、17世紀
実は、これらは、海洋生物学者のモースが、ボストン美術館に寄贈したもの。
ちなみに、モースは、約5000点もの日本陶磁器を寄贈しています。
日本で大森貝塚を発見した彼は、同じく日本で日本の陶磁器の美しさも発見していたのですね。
最後に。
これからボストン美術館展に行かれる方、
もし良かったら東京都美術館の館内で配布されている冊子をチェックされてみてください!
巻頭に担当学芸員さんとの対談記事が載っております。
対談場所であるみはしのあんみつを、いかに美味しそうに見せるか。
そこにこだわった記事となっております。
(もちろん、《涅槃図》 の見どころにも触れています)
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