現在、菊池寛実記念 智美術館で開催されているのは、
“八木一夫と清水九兵衞 陶芸と彫刻のあいだで” という展覧会。
戦後の陶芸界に新たな風を吹き起こした2人の陶芸家を紹介する展覧会です。
まず紹介されているのは、八木一夫 (1918~1979)。
あの司馬遼太郎が、「天才」 と称した人物です。
八木一夫と言えば、オブジェ焼き。
皿や壺、花器といった用途を持たない純粋な造形、
まるでオブジェのような陶芸作品を次々と発表していきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
そんな八木一夫の代表作ともいえるのが、《ザムザ氏の散歩》。
フランツ・カフカの小説 『変身』 の主人公ザムザが、
ある朝目覚めたら巨大な虫に変身していたことを題材に制作した作品だそうです。
そう言われてみると、虫のように見えてきました。
それも、脚の多いヤツ。
さて、こちらの作品、パッと見では陶芸作品とは思えません。
むしろ彫刻作品、普通のオブジェのようです。
しかし、実は、ちゃんと伝統的な陶芸の技法で制作されています。
中心の輪っかは、ロクロで成型した円環を横向きにしたもの。
そこから生えてる虫の脚や触覚みたいなのも、ロクロで成型した円筒なのです。
陶芸界のみんながみんな、皿や茶碗を作っているときに、
こんなわけのわからないものを作って発表した八木一夫。
確かに、天才です。
ちなみに、ヘンテコなオブジェ焼きばかり作っているのかと思いきや、
フグをイメージした (?) 《春の海》 のように、意外と愛らしい陶芸作品も多々ありました。
僕のお気に入りは、《踊り》 という作品。
色こそ黒一色で地味ですが、着色したら、たぶんゆるキャラっぽくなるはずです。
どこかの地方の祭りにいそうな感じ。
ただ、踊れる気は全くしません。
頑張っても、音楽に合わせて、左右に揺れるのがやっとではないでしょうか。
さてさて、続いて紹介されているのが、清水九兵衞 (1922~2006) です。
名古屋に生まれ、建築を学び、その後東京藝術大学で彫刻を学ぶも、
在学中に江戸時代から続く陶家、清水六兵衞家の養嗣子となり陶芸の道へ。
と、興味がコロコロと変わっていった人物ですが、
それ以上に、塚本廣⇒清水洋⇒清水裕詞⇒七代六兵衞⇒清水九兵衞と、
驚くほど名前もコロコロと変わっています。
そんな自由な感じが、制作にも反映されているのでしょう。
八木一夫のように陶芸に固執するわけでもなく、
オリジナリティ溢れる造形の作品を数多く生み出していました。
ちなみに、個人的に印象に残っているのは、《ユニット・オブジェ(一輪挿)》 です。
一つ一つのキューブは、それぞれ一輪挿だそうで。
発表時は、4×4に並べて、まるで積み木のように展示していたのだそうです。
なんと斬新な。
今回は、展示台に整列させる形で展示されていました。
縦に7個。横に9個。
足して、計16個。
・・・・・・・って、危うく騙されるところでした!
1個重複して数えてしまっているので、計15個です。
あれっ、1個どこ行った?
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八木一夫と清水九兵衞 陶芸と彫刻のあいだで
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