現在、国宝が約200件出展される空前絶後の国宝展、
“開館120周年記念 特別展覧会 国宝” が、京都の国立博物館にて絶賛開催中なわけですが。
実は、ほぼ同じタイミングで、国宝21点が出展される地味にスゴイ展覧会が開催されています。
その展覧会が開催されているのは、東京でも大阪でも愛知でも福岡でもなく、栃木県。
今年で開館35周年を迎える栃木県立博物館です。
こちらで、現在、開催中の・・・
一見地味な感じのする “中世宇都宮氏 頼朝・尊氏・秀吉を支えた名族” という特別展。
この展覧会に、なんと国宝と重要文化財あわせて約70件が出展されています。
人も展覧会も、イメージで判断してはいけませんね。
さてさて、こちらは、平安時代末期から戦国時代にかけて400年以上にわたり、
宇都宮を拠点に活躍した名門武家・宇都宮氏に本格的にスポットを当てた展覧会です。
《宇都宮氏軍旗》 高津古文化会館
宇都宮の宇都宮氏。
よっぽど歴史に詳しい人でないと知らないであろうマイナーな一族です。
もちろん僕も知りませんでした。
(宇都宮という名字で思いつくのは、宇都宮隆くらいですw)
そんな宇都宮氏ですが、豊臣秀吉によって改易され、
歴史の表舞台から消えるまでは、関東を代表する有力な一族だったとのこと。
その証拠に、3代の宇都宮朝綱は、源頼朝をして 「関東一の弓取り」 と言わしめたり、
楠木正成らが挙兵した際に9代の宇都宮公綱は、楠正成に 「坂東一の弓取り」 と言わしめたり。歴史の表舞台に、宇都宮氏は何度もちょこちょこ顔を出しています。
特に重要な人物なのが、見た目が堺正章にどことなく似ている5代の宇都宮頼綱。
マチャアキに負けず劣らずマルチな才能の持ち主です。
今回出展されている国宝の 《法然上人絵巻》 。
《法然上人絵巻 巻四二》 知恩院
この中で、法然の遺骸を護衛しているのが頼綱です。
また、文化人としては、こんな功績も。
歌人の藤原定家と親交が深く、京の別荘小倉山荘に住んだ際に、
定家に選定してもらった和歌98首を、襖絵として飾ったのだそうです。
これが、百人一首の成立に繋がったとのこと。
知らず知らず、宇都宮頼綱の恩恵 (?) を受けていたのですね。
さてさて、展覧会では、240点を超える膨大な資料で、
そんな宇都宮氏の知られざる実像を明らかにしています。
基本的には書状や文書など、字ばっかりなので、
歴史に興味がない人にとっては、やや退屈に感じられることでしょうが。
国宝と重要文化財が展示品の半数を占めているのは、やはり圧巻。
また、仏像もありましたし、
重要文化財 《阿弥陀如来立像》 大念寺
刀剣もありましたし、
(7月の記事で紹介した 「布袋国広」 の実物が出展されていました!)
あの有名な豊臣秀吉の肖像画もありましたし、
重要文化財 《豊臣秀吉像 南化玄興賛》 高台寺 (注:展示は前期のみ)
栃木で開催されているからと侮るなかれ、
想定外に見ごたえの多い展覧会となっていました。
ちなみに、今回個人的に一番印象に残ったのは、
歌人として5代の頼綱と交流のあった時宗の僧・他阿(たあ)の彫像です。
晩年に患った中風によって口許が歪んでしまったそうで、
この彫像は、それを残酷なまでにリアルに再現しています。
その痛々しいまでの迫真性には、思わず見ているこちらの顔が引き攣ってしまいました。
そうそう、顔が引き攣ったといえば、
こんなトピック展示も同時に開催されていました。
まさか、ヒアリに出会うとは。
中世宇都宮氏からヒアリまで。
守備範囲の広い栃木県立博物館です。
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中世宇都宮氏 頼朝・尊氏・秀吉を支えた名族
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