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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代

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現在、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されているのは、
“オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代” という展覧会。
ドイツとスイスで活動した画家オットー・ネーベル (1892~1973) の日本初となる回顧展です。

オットー
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


オットー・ネーベル。
初めて耳にする名前の画家です。
オットーと呼ぶべきなのか。
ネーベルと呼ぶべきなのか。
それすらわかりません。
とりあえず、フルネームでオットー・ネーベルと呼ぶことにします。

12_ネーベルの肖像写真
ネーベルの肖像写真 1937年 (オットー・ネーベル財団提供)


まずは、その簡単なプロフィールからご紹介。
オットー・ネーベルは画家として活動する一方で、
版画家や詩人、著述家、役者としても活動したマルチな人物です。
1920年代にワイマールに滞在し、
バウハウスで教鞭を取っていたカンディンスキーやパウル・クレーらと出会いました。
特にクレーとは生涯にわたる親交を結んだそうです。
それは、オットー・ネーベルの作風を見れば明らか。

オットー
オットー


色合いといい、雰囲気といい、サイズ感といい。
クレーの作品を彷彿とさせるものがあります。
ちなみに、展覧会ではクレーの作品も併せて紹介されているのですが。

クレー


もはや、どっちがオットー・ネーベルで、
どっちがクレーなのか、パッと見では判別不能。
オットー・ネーベルかと思えば、クレーで、
クレーかと思えば、オットー・ネーベルで。
『君の名は』 状態です。


ただ、それはあくまで、パッと見での話。
ちゃんと近づいて、よくよく見てみると、
オットー・ネーベルとクレーの作品には、大きな違いがありました。
オットー・ネーベルの作品のほうが、マチエールがハッキリしているのです。

オットー・ネーベルで


ツヤツヤ。ザラザラ。キラキラ。ラメラメ。
物質感が強いです。
主張してきます。
クレーの絵が線で絵を描いている感じなら、
オットー・ネーベルの絵は、絵の具を塗り重ねて描いている感じ。
絵画というよりも、工芸品に近い印象を受けました。

輝く黄色の出来事
オットー・ネーベル 《輝く黄色の出来事》 1937年、油彩・キャンヴァス、オットー・ネーベル財団


クレーの作品も好きでしたが、
個人的にはオットー・ネーベルの作風のほうが好み。

聖母の月とともに
オットー・ネーベル 《聖母の月とともに》 1931年、グアッシュ・紙、ベルン美術館

オットー


どこがどうとは具体的に好きな理由は挙げられませんが。
色のセンスや絵肌の質感が、いちいちツボ。
お気に入りの画家が、また一人増えました。
星


ちなみに、一番印象に残っているのは、《避難民》 という一枚。

オットー・ネーベル
オットー・ネーベル 《避難民》 1935年、グアッシュ、インク・紙、オットー・ネーベル財団


避難民というタイトルとは裏腹に、
悲壮感や緊張感が全く感じられません。
何かのマスコットキャラクターのようです。
避難民クンと、そのパパとママみたいな。
もし、避難する人のためのマニュアル本があるならば、
避難民クン一家がガイド役で登場するのかもしれません。




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