練馬区立美術館で開催中の
“平澤熊一展 うちのめされた時がほんとうに人生をしっかり生きるとき” に行ってきました。
7月8日まで。
入館料は、なんと無料!
さてさて、まず気になるのが、その長い美術展のサブタイトル。
これは、平澤熊一の・・・
「うちのめされた時がほんとうに人生をしつかり生きるときではないか。
人々、俺をもつと飢えさせろ。
天、俺が何処まで生きていくか画人として見ておれ。」
という言葉に由来するものです。
さてさて、こんな激しい言葉を放った画家・平澤熊一(1908~1989)。
正直なところ、初めて、その名前を聞きました。
“一体、どんな画家だ??”
美術展の告知文を読んでみると、こうありました。
“今日まで忘れ去られていた油彩画家です。”
何とストレートな言い方 (笑)
間違いなく、平澤熊一は、うちのめされていることでしょう。
美術展会場で得た情報によると、
池袋モンパルナスに住んでいたこともある画家だそうです。
池袋モンパルナスと言えば、そうネーミングした詩人の小熊秀雄や、
池袋モンパルナスで仙人と呼ばれた画家・熊谷守一が思い浮かぶところ。
そして、この平澤熊一。
何でしょう、この 『熊』 の漢字が入る率の高さは?!
と、それはさておき。
肝心の絵をご紹介いたしましょう。
《竹山の廟》 や、
《卓上の花》 など、
わりと重めの画風なのが、印象的でした。
描かれている題材は、台湾の建築や、一輪差しなど、
特に重くもなんともないのですが、平澤熊一の手にかかると、
なぜか何となく重たい絵になってしまう気がします。
風景画を描くと、この通り。
抽象化するのは、いいとしても。
カラーリングが、何とも重たい。
こんな柄の洋服を着ていたら、
「どうしたの?どんよりした服なんか着て」
と言われることでしょう。
また熊一の手にかかると、
静物画も、とことん重たくなってしまいます。
これまで、古今東西、かなりの数の静物画を観てきましたが。
こんなにも気持ちが塞がった静物画は初めてです。
タイトルは、 《静物》 と普通ですが、
描かれているものを、よ~く注目してみてください。
何やら書類のようなものが見えますね。
画像では判別不可能ですが、
会場で、実物に目を凝らすと、 「督促状」 の文字が (笑)
督促状が描かれた唯一の静物画ではなかろうか。
“さすがに、人物画は、重たくないかなぁ??”
と思いつつ、とある人物画を見ると、 《許さん》 というタイトルが。
“この人に、どんな怒りを覚えているの?許してあげようよ”
そうオロオロして、キャプションをよ~く見ると、
『きょ』 というルビがふられていました。
“許 (ゆる) さん” ではなく、 “許 (きょ) さん” だったのですね。
あぁ、勘違い。
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平澤熊一展 うちのめされた時がほんとうに人生をしっかり生きるとき
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