今回は、正確には、自腹ではないのですが。
上映会に行って、観賞してきましたので、忌憚のない感想をば。
■ハーブ&ドロシー
監督:佐々木芽生
出演:ハーバート・ヴォーケル、ドロシー・ヴォーケル
2008/アメリカ/87分
マンハッタンの質素なアパートに暮らすヴォーゲル夫妻は、
日々美術展を巡り、気に入った作品を愛で、熱心にアーティストと語らう。
家に帰れば1LDKの間取りを所狭しと埋め尽くした4000点ものアートの数々が待っていた。
元郵便局員のハーブと元図書館司書のドロシーが慎ましい生活を送りながら、
40年の歳月をかけて買い集めた現代アートの膨大で貴重なコレクションは、国立美術館に寄贈されることになる。
(goo 映画より)
「こちらは、ドキュメンタリー映画。
主人公は、アメリカのアート界の生きる伝説となっているアートコレクター夫婦。
彼らが、集めたコレクションの数は、実に4000点。
無償で寄贈されたワシントンナショナルギャラリーも、
その数の多さに、全部を収蔵できないと、嬉しい悲鳴を上げたほど。
“4000点のアートをコレクションしたなんて、さぞ、大金持ちなんでしょ?”
と、貧乏人の僻み根性で観始めたら、主人公のヴォーゲル夫妻も、貧乏人ということが発覚。
インタビューに答えるアーティストが、口をそろえて、
「彼らは、貧乏人」
だと言う。
いや、そこまで、言うなよと (笑)
いつの間にか、ヴォーケル夫妻を応援していました。
さらには、
「もはや、あの蒐集癖は、病気」
とまで言われていた。
言われたい放題にも、ほどがある (笑)
ただ、それらの言葉には、愛があるので、ご安心を。
この映画は、ヴォーケル夫妻をいじめる殺伐とした映画ではありません。
むしろ、ほっこりとする映画。
『自分のお金で買えること』 と 『アパートに入ること』 という2つのルールのもと、
コツコツコツコツ…と、現代アートを集め続けて、半世紀。
“塵も積もれば山となる” とは、よく言いますが、
正直、当時は塵のようなアートも (アーティストがいらないと言ったものも買う) 、
今では、すっかりアメリカの近現代アート研究に欠かせないほどのコレクションに。
リアルに、スゴい話だと思います。
こういう知られざる街の偉人にスポットが当たったドキュメンタリーは大切。
要所要所で、クスッとなるシーンが登場しますが、
個人的に、印象的だったのは、インタビューに答えるドロシーの義姉からにじみ出る性格の悪さ (笑)
ヴォーケル夫妻は、狭いアパートに住み続け、
さらに、たくさんのアート作品に浸食され続け、ソファーも置けない生活を続けております。
(もちろん、嫌々ではなく、自ら楽しんで)
それに対して、ドロシーの義理の姉は、こう言います。
「ドロシーたちには、私たちみたいなソファーのある生活を歩んで欲しかったわ」
この “ザ・上から目線” な発言。
少女漫画に出てくる 『嫌味な少女A』 という感じです。
それから、もう一つ印象的だったのは、
若きドロシーがかけていたメガネが、いわゆる勉三さんメガネだったこと。
ドロシーは、わりと美人な方だっただけに、
なぜに、そんなメガネをかけているのか、謎で謎で仕方がありませんでした。
それすら、アートなのか??
この映画を観ると、純粋に、自分もアートを集めてみたくなります。
そして、
いつか、とに~コレクションとして、
東京国立博物館や東京都現代美術館に寄贈してみたい!
まだコレクションを始めてないですが、
今から、どこに寄贈するか、ワクワクである。
(星3.5)」
~映画に登場する名画~
河原温 《I GOT UP》 シリーズ
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Film:20 『ハーブ&ドロシー』
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